時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「・・・と言うわけだ。確かにルークはこのグランコクマで丁重にもてなしてこそいる・・・が、それでアッシュの事を言われる訳にはいかんからお前に口止めをしたんだ。本物のルークは『アッシュ』という事をおおっぴらにされても困るんだ。アッシュがやってきたことの厄介さもあるがそれがキムラスカにバレたらまた戦争の流れが再燃しかねんのでな」
「・・・そんな、ことが・・・」
話をし終わり少し疲れたように頭を抱えるピオニーに、ガイもようやく愕然としながらも理解出来たようだった。
「・・・話を戻すぞ、ガイ=セシル」
「あ・・・はい」
「確かお前はルークに会いたいと言うためにここに来たのだったな?」
「・・・その通りです」
「今更会った所で何をするつもりだ、お前は?」
「え・・・?」
それで話を本筋に戻すピオニーにガイは質問に頷いていくが、唐突にどうするのかと問われてキョトンとした顔を浮かべる。
「これは言っていなかったがルークはお前はガルディオスの生き残りであると共に、復讐の為にファブレに入り込んでいたことは知っている。そんなルークに今更会ってお前はどうしようというんだ?」
「!・・・そんな、何故・・・!?」
「その時現場に俺がいなかったからよく知らんが、確か様々な面でルークの安全を考えて事実を教えることにしたんだったか?アスラン」
「えぇ、ルーク殿がガイはどうなるのかと聞かれましたのでこの際全てをお伝えするべきと思い話をしました。ルーク殿にガイ=セシルの事を諦めていただくために」
「・・・っ!」
そんな顔に何のためらいもなくルークは知っていると告げればガイは半ばいらないことをと責めるような瞳で疑問の声を向けるが、話をピオニーから振られたフリングスの返答にガイが呆然とした表情になる。
「・・・いらぬ事をしでかしてくれた、そう思っているというようなリアクションだな」
「っ・・・そ、そんなことは・・・」
「まぁそれはもうどうでもいい、過ぎた事だ。それより今更お前がルークに会った所で何にもならん、どうせ今年が終わればキムラスカに帰る身だ。そんな相手と会ってなんになる?」
「そ、それは・・・」
その反応に追求をしかけるもすぐに止め、ピオニーは再度話をしたからこそどうするとの問いかけを向ける。だがキムラスカに今年が終われば帰ると聞いたことで、ガイも何を言えばいいものかと口ごもる。
「・・・あいつには、俺が必要なんです・・・あいつはワガママな奴なんです、だから俺がいないと・・・あいつも俺に会えばそう言ってくれるはずです、だから会わせてください・・・」
「っ・・・この後に及んでまだそんなことを言うのか、お前は・・・」
・・・しかし出てきたのは諦めではなくルークが自分を必要としていると、端から聞けば自身がルークの存在を尚も言い訳のように求める声。その姿にピオニーは歯噛みしながら若干の苛立ちを浮かべ、フリングスに視線を向ける。
「おいアスラン、ルークをここに呼ぶよう外の兵士に伝えろ・・・このまま話をしても平行線になるだけだ、ならいっそ一度会わせてやった方がいい」
「!・・・陛下・・・」
「それは・・・いえ、わかりました。すぐに手配します」
出てきた言葉、それはルークを呼べというもの。その言葉にガイはパァッと顔を明るくしフリングスは進言しようとするが、すぐにその鋭く力のこもった目を見て了承に切り替え入口の方へと動き出す。
「ありがとうございます、陛下・・・!」
「礼を言われる筋合いはない・・・それより覚悟をしておけ、どのような答えが返ってきてもいいようにな」
「・・・え?」
自身の要望を受け入れた、その事にガイは嬉しさを隠しきれずに頭を下げる。だがピオニーが意味深でいて冷たく言い放った言葉に、ガイは何を言ってるのかと疑問に声を上げながら頭を上げたが結局は何も分からず首を傾げるばかりであった。









・・・そして数分後、兵士に引き連れられてルークは謁見の間にやってきた。
「ご苦労、下がってろ」
「はっ!」
「・・・ルーク・・・」
「・・・」
ピオニーが兵士に下がるように言う中でガイは嬉しそうにその名を呟く・・・だがその当人であるルークは深く眉間にシワを寄せ、真剣な面持ちを浮かべていた。









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