時代と焔の守り手は龍の剣 epilogue

「・・・ピオニー陛下!」
「・・・お前は、ガイ=セシルか」
「貴様、ここをどこだと思っている!?」
「いい、下がれ。こいつの話を聞いてからどうするかは俺が判断する」
「・・・はっ」
・・・3年前のグランコクマ謁見の間。その場に走り込むように乱暴に入室してきたガイに兵士が怒声と共に取り押さえにかかろうとするが、ピオニーは慌てるでもなく制止の声をかけてから冷たい視線をガイに向ける。
「何の用だ?俺はお前をここに入れるようになど言ってはいないが」
「・・・ここに、ルークがいると聞きました」
「・・・なんだと?」
それで何用かと淡々と聞くが、意志のこもった声でルークと出てきたことにピオニーは玉座から体を少し乗り出させ周りの空気もザワリとした物になる。
「おい、それは誰から聞いた?」
「・・・廊下を歩いていたらルークの担当らしき人物がルークの事を話しているのをふと聞きました。それでいてもたってもいられず・・・」
「・・・そうか」
何故知ったか、静かに聞くとたまたま聞いたからと返ってきた事にわずかの安堵をピオニーは滲ませる・・・意識してその者がルークの事を明かした訳ではない、と言うことに。
「陛下・・・ルークに、ルークに俺を会わせてください」
「・・・会って何をする?お前はもう既にファブレの使用人とは認められてはいないだろうし、そもそも当の本人からもお前は必要とされてないはずだ」
だが構わず話を続け懇願をしてくるガイに、ピオニーは冷たい言葉を投げる。
「っ、そんな事はないはずです・・・あいつには俺が必要なんです、親友の俺が・・・それにあいつはアッシュのこともあるから「待て!」・・・陛下?」
「・・・それ以上言うなガイ=セシル、少し待て。それと兵士は一部の者を残しすぐにこの場から出ろ、代わりに誰かアスランを呼んでこい。大至急だ」
「は・・・はっ!」
しかしめげないガイはいかに自分がルークに必要かと説こうとするが、アッシュの名が出た瞬間ピオニーは声を大きくして制止の声を上げると共に威厳に満ちた声でつらつらと命令を出していき、場の皆は緊迫した様子で急いで従った。
「あ、あの・・・陛下・・・」
「いいから待て、話はアスランが来てからだ」
「は、はい・・・」
ただ一人状況を理解出来ていなかったガイは尚も話を続けようとするが、有無を言わさぬ命令に黙る以外に出来ない。
(そうだった・・・前にこいつの事を迂闊極まりない事をしそうだと前に思っていたんだったな・・・今この事を思えば俺も迂闊だったんだろうな・・・)
そしてガイを冷たく見据えながら心中でピオニーは自身の迂闊さを悔やむ、こういった事態を引き起こす事を忘れていたことを・・・






「・・・お待たせしました、陛下」
「あぁご苦労アスラン・・・お前らは外に出ていろ、何かあればすぐに呼び出す」
「はっ!」
・・・数分して急いで来たフリングスに労いの言葉をかけ、場に残っていた兵士に命を下し兵士達は場から退出していく。
「・・・さて、話の続きだがお前の言うことに一々答えながらの形で話をしたら時間がかかりそうなんでな。お前らが牢に入れられてからの事をかいつまんで話すが、質問はそれからにしろ。いいな?」
「・・・はい、わかりました」
それでフリングス以外がいなくなった場でまずは話を聞けと圧力を込めて言えば、ガイも反論が出来ずに頷くばかりだった。









・・・それでピオニーはフリングスの補足も入れつつ、ガイの知らないであろう牢に入れられて以降の話をした。もちろん事に関わっておらず信頼のないガイにはいくつか話してない事やフェイクを入れたりはしたが、それでもガイにとって必要な大まかな流れは説明はした。

最初ガイは信じられないと言った風にしていたが、それでも話を聞き終わる頃には納得せざるを得ない様子で愕然としていた。








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