時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話

「・・・ジェイド・・・」
ジェイドのいなくなった部屋・・・一人しかいなくなった部屋で、ルークはたまらずその名を寂しげにもらす。
「・・・俺、あいつに何もしてやれねぇのかな・・・いや、ジェイドだけじゃない・・・セカンも、あいつも何か悩んでるようだったし・・・どうすればいいんだろう、俺・・・」
それでジェイドに思いを馳せる中、セカンの事にも思い至りルークは更に表情を暗く落とす。
「・・・くそっ・・・っ、ん・・・」
しかし何を出来るわけでもなく、ルークはただ吐き捨てるように一言漏らしベッドに乱暴に飛び込む。そして何かに悶えるような声を上げながら身をよじり出す・・・















「・・・・・・んっ、んあ・・・あー・・・俺、寝てたのか・・・」
・・・それから数時間後、ベッドから目をこすりながら起き上がったルーク。色々考えている内に次第に眠っていたことに気付いたようだ。
「なんだ、目が覚めたか?」
「あっ、カクノシン・・・」
そんな時に近くの椅子に酒を煽り飲みながら座っていた比古清十郎の声に、ルークはそちらに視線を向ける。
「・・・お前一人か?」
「・・・誰の事を言っているのかはしらんが、俺が戻ってきた時にはお前以外に部屋にはいなかったぞ」
「そっか・・・」
そのままの流れで寝起きのボッとした目で辺りを見渡し比古清十郎以外いないことを確認し、そのルークの様子に比古清十郎は誰もいなかったと告げる。
「・・・とりあえず顔でも洗って目を覚ましてこい。話を続けるにしても寝起きのお前を相手に話を続ける気にはなれん」
「あぁ・・・わかった・・・」
未だ目を覚ましきれてない返事に比古清十郎が顔を洗うよう言えば、すんなり頷きながらベッドから降りてルークは顔を洗いに出る・・・



「・・・待たせた」
「別に待ってなどいない」
・・・数分後、比古清十郎の前に戻ったルークだがその返答は素っ気ない比古清十郎らしい物だった。
「・・・それで、どうした?何か俺か他の誰かに用でもあったんじゃないのか?」
「あぁ、うん・・・ちょっと色々考えてたんだけど、聞いてくれるか?」
「・・・話してみろ」
だがそれでも何かあったことは様子から察した比古清十郎がさりげに話題を振れば、遠慮がちな声で伺いを立ててきたことでルークが話せるように先を促す。









「・・・それでどうしようって思ってる内に俺は寝てて、さっき目覚めて・・・」
「・・・ほう」
・・・そうしてルークから先程のジェイドとの経緯に加えてセカンの事についての話を聞いた比古清十郎は事情を理解し、一つ頷きの声を入れる。
「・・・なぁカクノシン、俺どうしたらいい?」
「知らん、俺に聞くな」
「っ!?」
経緯を語り終えルークは比古清十郎にすがるように問い掛けるが、迷う余地なくすっぱり切り捨てるように言い切られた事で驚きと戸惑いを入り交じらせた表情を浮かべる。
「何をどうするべきか、どうしたいか・・・それを決めるのは他ならぬお前以外にいない。それを俺に聞くのはお門違いだ」
「それ、は・・・・・・うん・・・確かに、そうだよな・・・俺がどうしたいかってのは俺以外にわかるはずがないもんな・・・」
そんな顔に比古清十郎はお前が決めることだと強く言い切りルークも反論をしようとしたが、その言い分は間違ってないことに気付き力なく首を横に振る。






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