時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話

「・・・では次になるが、カクノシンにセカン。お前達に関してだがこちらで言うべき事は特にない。強いて言うなら今までの功績の分こちらから何か報奨を送ることも出来るが、何か欲しいものはあるか?」
「特に必要は・・・いや、酒でももらっておこう。質のいい酒を定期的に俺の住む小屋に送れ、俺はそれでいい」
「そ、そうか・・・ならそうしよう」
そこからピオニーはジェイドから視線を外し今度は比古清十郎達に今までの働きの分の礼で欲しいものはあるかと問えば、初めは断ろうとしかけたが珍しくもらしいと言える形で平然と酒を要求してきたことに微妙な表情になりながらも了承を返す・・・まぁピオニーからしても堂々と報酬に酒を要求されることなどあるはずもなかっただろうから、当然と言えば当然と言える。
「セカン、お前はどうする?」
「・・・いえ、私は特に必要ありませんので気にしないでください」
「そうか、わかった」
対してセカンは特にないと首を横に振ったので、ピオニーはそれには素直に頷く。
「後はお前達がいつ帰るかだが、お前達はそう長い期間グランコクマにいる気はないのだろうがこちらはここにいるならもてなす用意はある。だから折衷案として一言言ってくれれば好きな時に帰れるようにするからゆっくりしていけ、帰ることを決める時までな」
「あぁ、いいだろう」
そして引き留める気はないと言いつつももてなす気もあるとピオニーが笑顔を見せて案を告げれば、比古清十郎は特に反論するでもなく頷く。
「では最後はルーク殿、貴殿についてだ」
「・・・はい」
「とは言っても貴殿は特に前に言った事と何ら変わりはない。一応の念の為、預言に詠まれたような事態を避けるように貴殿には年が明けるまではこのグランコクマにいてもらう。キムラスカ側にはナタリア殿下を送り届ける際にその事をジェイドに伝えてもらうが、構わんな?」
「覚悟の上です・・・あっ、でも一ついいでしょうか?」
「なんだ、ルーク殿?」
それで最後とピオニーがルークに後の事に以降の流れを確認するように口にすれば、ルークは了承しようとしたが唐突に思い出したような声を上げたことに何事かと問う。
「・・・手紙を書きたいんです、父上や母上や叔父上に。年が明けるまでここにいなければならない、と言う理由はわかります。ですがせめて、自分がこのグランコクマで無事にお世話になることを伝えたいんです」
「・・・成程、そう言うことなら構わないだろう。むしろ貴殿からの直筆の手紙があるなら向こうも納得はしてくれるだろうし、いずれ戻ると言う言葉があれば安心もするだろうからな・・・わかった、その手紙を出すことを許可しよう」
「・・・ありがとうございます」
ピオニーの視線にルークは手紙を出したいと、切なる思いと共に公爵達の事を上げながら言う。その発言にピオニーはこちらにも理があるからいいとすんなりと許可を出し、ルークは礼と共に頭を下げる。
「・・・とりあえずこれでお前達の行動の方向性も決まったな。後はいつ導師達にジェイド達が出立するかだが、導師の護衛の事を考えるならジェイド達もケセドニアまで同道した方がいいだろう。それでいて早い内に行きたいと言うことだが・・・導師はいつに出立する?」
「・・・そうですね・・・流石にこの後すぐにと言うのは色々急ぎすぎることになると思いますので、明日以降で早ければ早い程ありがたいのですが・・・」
「成程、明日以降か・・・」
全員の確認が終わった所で今度はいつ帰るとピオニーが聞けば、イオンが手間を考え明日以降と考えて出した答えに少し考え込む。
「・・・よし、わかった。明日なら諸々の準備は出来るだろうから、明日に決定しよう。ただそうなるとルーク殿には明日までに手紙を書いてもらって、それからジェイドに渡すことになるがそれでいいか?」
「はい、それは大丈夫です」
「よし、なら明日だ」
「すみません、陛下」
「何、構わん」
それで明日と出した結論にルークが賛同し、イオンが礼をピオニーに言ったことでハッキリと確定した・・・明日がこの面々の解散の日と。










26/31ページ
スキ