時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話

「・・・大丈夫かな、セカン・・・」
「セカン?なんでセカンの心配するの?特に変な様子だったようには思えなかったけど・・・」
「あー・・・いや、なんつーかあいつの様子を見ててアリエッタの事を心配ってのもあるとは思ったけど・・・それだけじゃないことを何か抱えてるような感じに見えたんだよ」
「何か抱えてるだと?」
「うん・・・」
その姿にポツリとルークが声を漏らしシンクが何故心配かと聞けば、なんとか言葉を絞り出し自分の感じた事を口にし比古清十郎もそれに食いつく。
「・・・なんかセカン、さっきのシンクとの会話で考え込んでただろ?それでアリエッタの事を口にしたけど、あれってなんか誤魔化してるように思えたんだ。本当の事を。それで流れのまま部屋を出たんじゃないかって・・・」
「・・・考えすぎじゃない?それに何か抱えてるって言っても具体的にどうするのさ?もしそれが本当だったとして、セカンが素直にその事を話すと思う?」
「うっ・・・それは・・・」
ルークは自信の感じた事を表現に悩みつつ述べる。しかしシンクから勘違いではないかと言われた上に話を聞けるのかと問われ、ルークは言葉につまり視線を外す。
「・・・今の言葉で躊躇したと言うなら下手にセカンに接触しようとするのはやめろ。それに他に何かあるにせよないにせよ、セカンはアリエッタの所に行っている。今から追いかけその事を聞けば場違いな話になるだけだ、いくら俺でもそこまで空気を読まん事は出来ん」
「・・・そうだな、黙って待つよ」
そこに比古清十郎が何はともあれ今聞きに行くべき事でないと言った事で、ルークは力なく待つと返して頷く。
(セカンが何か抱えてるような、か・・・おそらくそれはこれからのこと、だろうな)
場が静かになったところで比古清十郎は一人内心で当たりをつける、ルークの感じたセカンの異変の様子の理由を。
(あいつは飛天御剣流と共に俺といる未来を思い描いていたのだろう・・・だがこれからの世では余程の事が起こらん限り、再び飛天御剣流を大々的に振るう機会などあるはずもない。それはつまり、セカンに目的が達成されて無くなったことを示してしまった・・・今のセカンはその事実に戸惑っている、と言った所だろうな)
・・・伊達にセカンの親をしてきた訳ではない。比古清十郎は持ち前の洞察力も相まって正確にその心中の乱れを見抜いていた。
(さて、どうしたものかな・・・)
しかし以前に自身の道は自身で選ぶようにと言ってしまったことで、言葉を無理に撤回するのは避けたい比古清十郎はどうするべきかと思案に没頭し始める・・・この辺りはまだ親として心配性な部分があるようだ、奔放なように見えて娘の今後については。












・・・その後、大分時間が経った後にセカンはルーク達の待つ部屋へと戻ってきた。それでルーク達が話を聞いた所によればアリエッタは今は大分様子としては落ち着いているらしく、ヴァン達やモースのやって来たことも受け入れているとのことだった。とはいってもつい最近になって受け入れることが出来たらしく、まだこれからどうするかまでは決めてないとのことらしい。

そこまで聞いて時間が結構遅かったのもあり、ルーク達は明日に備えて休むと言うことになった・・・誰もセカンの事には触れないまま・・・






・・・そして翌日、ルーク達はイオンと合流した上で謁見の間に集合した。






22/31ページ
スキ