時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話

「師匠・・・なんで急にそんなことを?」
「何、行き場所がないならそれをくれてやろうという気遣いだ。それに俺の陶器はホド特有の物で、他に作る者もいないんでな。誰かに陶器の作り方を教授するのも悪くないし、コイツなら変に騒ぎ立てん。そう思ったから言っただけだ」
「そう・・・なんですか・・・」
セカンはその真意を比古清十郎に尋ねると、前半がオマケのような言い種の本音に微妙な表情で納得するしか出来ない。
「・・・いいの、僕があんたのとこに来て?」
「来るのは一向に構わん。その代わり小間使い扱いで相当にしごき抜くがな」
「・・・ま、そうだよね。そんなうまいことがあるわけないか・・・ま、行くとこにあてがなかったら考えとくよ」
シンクはいいのかと真剣に確認するが、また比古清十郎らしい返答を聞いて少しがっかりしたような空気になりつつも、考えておくと返す。
「・・・」
「・・・どうしたんだ、セカン?」
「あ、いえ・・・なんでもないです、ちょっと考え事をしてて・・・」
その光景を複雑そうに見ていたセカンにルークが声をかけるが、なんでもないとそのままに首を振る。
「考え事ってなんだ?」
「えっと、その・・・あっ、アリエッタの事です。アリエッタは今頃どうしてるのかなって・・・」
「アリエッタ?・・・そう言えばアリエッタもここにいるんだったっけ・・・俺あんま話してないからわかんないけど・・・」
尚もルークはその姿に心配そうに声をかけセカンは口ごもっていたが、唐突に思い出したようアリエッタの事を出してルークもその存在の事を思い出す。
「そう言えばいたね・・・でも特にここにいる時にアリエッタのことで変わったって報告もないし、まぁ死んじゃいないんじゃないの?」
「死!?一体何があったんだよアリエッタに!?」
「・・・まぁ大雑把に要約して言えばアクゼリュスの後にアリエッタにイオンの事をセカンと説明しに行ったんだけど、そこで酷く泣いたんだよ。もう本当のイオン様は死んじゃったのかってね」
「・・・イオンの事を言ったのか・・・つーかよくそんなことしたな・・・」
「アリエッタに関しては降伏したってこともあって、以降の扱いをどうしようかってその時話してたからね。それでダアトに戻った場合の不都合を考えて真実を明かすってなったんだけど・・・僕からしたらよく泣くだけで済んだなって思ったよ、何せアイツのイオンへの依存度は半端じゃなかったから死ぬんじゃないかって程追い込まれてたし。その辺りは母親っていうクイーンが生きてる事をセカンが告げたからなんとかなったんだけどね」
「・・・そうなのか」
そこにシンクが何気なしに会話に加わるが、ルークは経緯を知らないだけに爆弾発言に驚き更に詳しく聞いていけば、とりあえずはなんとか収まったと取れる話になんとも言えない表情で頷く。
「ただあいつが今どうなってるのかは僕にはわからないよ。何せあんたらに付いていってからあいつには会ってないしね。まぁ今さっき言ったけど死んではいないでしょ、そう言った報告がないんならさ」
「・・・ちょっと私、アリエッタの所に行ってきます。あまり刺激しないようにって会いに行くの避けてましたけど、多分明日以降はここにいる事になるとは思えませんから・・・」
「あ、あぁ・・・」
しかしと今の事までは知らないとあっさりと言いきるシンクに、セカンはいてもたってもいられなくなったようでアリエッタの所に行くと言ってドアの方に向かいルークはただ戸惑ったようにその後ろ姿を見送る。






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