時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話

・・・それでルークを狙った男の捕縛も済み、男は場から連れていかれた。



「・・・大丈夫か、ルーク殿?」
「は、はい・・・ですが驚いてしまって超振動に使うよう貯めた第七音素が消えてしまいました・・・」
「いやいい、貴殿の身の安全の方が大事だ」
男がいなくなってピオニーがルークに心配そうに声をかければ、第七音素を無くした事を申し訳なさそうに返され首を横に振る。
「・・・済まない、今日ここに集まってくれた皆。このような事を強行する者が出てくるとは思わなかった、まさか飛び道具であるボウガンを使ってまでローレライを送るのを阻止しようとするとは・・・」
‘‘‘‘・・・’’’’
そこから視線を聴衆の元に戻し、ピオニーは沈痛な面持ちで謝罪の言葉を口にし重い空気に変わる。
「・・・今まで預言に音素があることが当然、それを滅びを避ける為とは言え無くしてしまうことに反発を覚える者がいるというのは遺憾な事と言える。だがそれでもここでローレライを音譜帯に見送らねば、この星に未来はないんだ」
「陛下、そろそろ自重を。まだよからぬ事を企む輩が出てこないとも限りません・・・」
「いや、アスラン・・・今だからこそ俺が言わねばならないんだ、世界の為にどうせねばならないかを」
‘‘‘‘・・・っ!’’’’
続けて未来の為にと自身の考えを述べだしフリングスの身の安全の為の制止を求める声を振り切って真摯に語るピオニーに、聴衆は一斉に息を呑んだ。
「預言と音素が無くなることに不便を感じるかもしれない、不安に思うかもしれない・・・そのような考えを持つ者はこれから少なからず出てくるだろう、今ルーク殿を襲った者のように強行手段を取らないにしてもだ。だがそもそもを言えば預言と言うものはユリアが警鐘を与えた物だ、戦争に障気と言う世界その物を滅ぼしかねん物から世界を守る為に・・・そしてその警鐘は最終的に世界が終わることを指し示しているのだ、その警鐘にいつまでも頼っていてなんになる?それとも警鐘の先にある滅びに向かい、世界と共に滅びることが本懐だと預言に音素を無くすことを恐れる者は言うのか?・・・そのような未来など少なくとも、俺は求めてはいない。もしそのような事を望む者がいるなら、俺は迷わず戦うことを選ぶ。しかしそれは武力を持って戦うのではなく、預言があった時よりより良い治世をするという政での戦いでだ」
‘‘‘‘!!’’’’
どうやって音素に預言を望む者に対し、自身が動くか・・・その答えをより良い政治をして示すことと言ったピオニーに、聴衆が一気に衝撃を受けて総毛立ったように身震いをした。
「・・・さっきの者のよう、預言に音素を惜しむ者がまだこの場にいるかもしれない・・・だがあえて言わせてもらう、俺達を信じてほしい。そして俺達と共に歩んでほしい、預言に縛られず人々が幸せに暮らせる暮らしを作るために・・・」
‘‘‘‘・・・わぁーーーッ!’’’’
そして最後と言わんばかりに想いを言葉に込めて頭を下げたピオニーに、聴衆達から一気に歓声が巻き起こった・・・聴衆も理解したのだろう、ピオニーは真に人々の事を想い動いていると。その聴衆の姿の中には歓喜を覚えてない者などいなかった、皆同じよう興奮したような表情を浮かべていた・・・











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