時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話
「・・・やりましたね、ルークさん・・・」
「あぁ・・・」
それで一同がルークの元に近付きセカンが様々な想いと共に重く声をかけると、当の本人はなんとも言えない声でうつむきながら返す。
「・・・どうしたんですか、ルークさん?」
「・・・いや、なんつーか・・・俺、こいつに勝ったら嬉しいとかそう思うのかなって思ってたんだよ・・・でもそんな感情が浮かんでこねー、むしろどっちかって言ったら怒りに近いんだけど・・・それもなんか虚しい怒りって感じなんだよ、こいつの言葉聞いて感じたのが・・・」
「・・・虚しい怒り、ですか」
セカンが心配そうに声をかけるとルークは自身の心の内を精一杯に表現しようと言葉を探し、その表現の総集された虚しい怒りという言葉にジェイドが眼鏡を押さえながらアッシュを見下ろす。
「俺さ・・・戦ってる時のこいつの言葉聞いて、中身のない怒りをぶつけんなって思ったんだよ。都合の悪いこと誤魔化そうとして、全部悪いのは俺一人にって形にしてたことに・・・それでこいつを倒して怒りをぶつけようと思って何か言おうとしても、何も出てこないんだ・・・出てきても八つ当たりするなって思うばっかりで、こいつに対して他に何か言うことも出てこないし・・・」
「・・・そいつは多分、相手がアッシュだったからだろ」
「ピオニー陛下・・・」
「人は自分を写す鏡、なんて言葉があるだろ。そいつはお前にとってもそうだし、アッシュにとっても当てはまる言葉だ・・・俺が考える所としちゃアッシュの怒りってのは激しいだけで、その実中身はカラッポだったんだろ。んでアッシュはそれをカラッポなんて思うように見直す気なんてなくて、ルークはそんなカラッポの怒りに対して怒りを返そうとしてみたらそれが中身がカラッポだって気付いた・・・だから虚しいんだろ、その怒りには想いも中身もないんだから」
「・・・そう、なのかな・・・」
それで尚も自身の感じたことを言葉にしていくルークにピオニーがアッシュだからだろうと、その理由を例えを用いてこうだろうと告げると複雑そうに視線をアッシュに向ける。
「・・・ま、何にせよこいつはもう終わりだ。この決闘で負けたんだからな、こいつを外に出す理由はもうマルクトにはない・・・おい、アッシュを連れていけ!」
「はっ!」
ピオニーはそんなルークに声をかけつつも離れて見ていた兵士に連行するようにと声をかけ、兵士はその声に従いアッシュに近付きその体を担いでいく・・・
「・・・ま、とりあえずもう休め。お前も祝杯を上げるような気分でもないだろ、今は」
「・・・はい、そうします・・・あっ、その前に・・・」
「何だ?」
アッシュが運ばれていく光景が遠ざかって見えなくなったのを見て、ピオニーがルークに振り向いて休むことを言い渡す。ルークもそれに従おうとしたが、途端に立ち止まり腰元から逆刃刀を鞘ごと抜く。
「・・・返すよ、これ。多分もう俺がこれを使うこともないだろうしさ」
「・・・いらん」
「「・・・えっ?」」
それで借りた逆刃刀をこの場で返そうと、比古清十郎に両手で差し出すルーク・・・だが比古清十郎から一言で不要と返ってきたことに、ルークとセカンは全く同じタイミングで呆けた声を上げた。
「元々その逆刃刀は飛天御剣流の奥義を伝承する際の安全面を確保する為の物。だがもう飛天御剣流の役目は終わろうとしていることから、俺にそれは必要ない。そしてセカンにもだ・・・だからお前にそれはくれてやる、取っておけ」
「えっ・・・えっ・・・?」
「・・・師匠・・・それ、本気で言っているんですか・・・?」
「あぁ、本気だ」
そんなルークにもういらないという理由を説明した上でくれてやると言い切る比古清十郎。ルークはいいのかと呆然と比古清十郎と逆刃刀を交互に見る中、信じられないと言った声でセカンは比古清十郎を強い視線を向ける。
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「あぁ・・・」
それで一同がルークの元に近付きセカンが様々な想いと共に重く声をかけると、当の本人はなんとも言えない声でうつむきながら返す。
「・・・どうしたんですか、ルークさん?」
「・・・いや、なんつーか・・・俺、こいつに勝ったら嬉しいとかそう思うのかなって思ってたんだよ・・・でもそんな感情が浮かんでこねー、むしろどっちかって言ったら怒りに近いんだけど・・・それもなんか虚しい怒りって感じなんだよ、こいつの言葉聞いて感じたのが・・・」
「・・・虚しい怒り、ですか」
セカンが心配そうに声をかけるとルークは自身の心の内を精一杯に表現しようと言葉を探し、その表現の総集された虚しい怒りという言葉にジェイドが眼鏡を押さえながらアッシュを見下ろす。
「俺さ・・・戦ってる時のこいつの言葉聞いて、中身のない怒りをぶつけんなって思ったんだよ。都合の悪いこと誤魔化そうとして、全部悪いのは俺一人にって形にしてたことに・・・それでこいつを倒して怒りをぶつけようと思って何か言おうとしても、何も出てこないんだ・・・出てきても八つ当たりするなって思うばっかりで、こいつに対して他に何か言うことも出てこないし・・・」
「・・・そいつは多分、相手がアッシュだったからだろ」
「ピオニー陛下・・・」
「人は自分を写す鏡、なんて言葉があるだろ。そいつはお前にとってもそうだし、アッシュにとっても当てはまる言葉だ・・・俺が考える所としちゃアッシュの怒りってのは激しいだけで、その実中身はカラッポだったんだろ。んでアッシュはそれをカラッポなんて思うように見直す気なんてなくて、ルークはそんなカラッポの怒りに対して怒りを返そうとしてみたらそれが中身がカラッポだって気付いた・・・だから虚しいんだろ、その怒りには想いも中身もないんだから」
「・・・そう、なのかな・・・」
それで尚も自身の感じたことを言葉にしていくルークにピオニーがアッシュだからだろうと、その理由を例えを用いてこうだろうと告げると複雑そうに視線をアッシュに向ける。
「・・・ま、何にせよこいつはもう終わりだ。この決闘で負けたんだからな、こいつを外に出す理由はもうマルクトにはない・・・おい、アッシュを連れていけ!」
「はっ!」
ピオニーはそんなルークに声をかけつつも離れて見ていた兵士に連行するようにと声をかけ、兵士はその声に従いアッシュに近付きその体を担いでいく・・・
「・・・ま、とりあえずもう休め。お前も祝杯を上げるような気分でもないだろ、今は」
「・・・はい、そうします・・・あっ、その前に・・・」
「何だ?」
アッシュが運ばれていく光景が遠ざかって見えなくなったのを見て、ピオニーがルークに振り向いて休むことを言い渡す。ルークもそれに従おうとしたが、途端に立ち止まり腰元から逆刃刀を鞘ごと抜く。
「・・・返すよ、これ。多分もう俺がこれを使うこともないだろうしさ」
「・・・いらん」
「「・・・えっ?」」
それで借りた逆刃刀をこの場で返そうと、比古清十郎に両手で差し出すルーク・・・だが比古清十郎から一言で不要と返ってきたことに、ルークとセカンは全く同じタイミングで呆けた声を上げた。
「元々その逆刃刀は飛天御剣流の奥義を伝承する際の安全面を確保する為の物。だがもう飛天御剣流の役目は終わろうとしていることから、俺にそれは必要ない。そしてセカンにもだ・・・だからお前にそれはくれてやる、取っておけ」
「えっ・・・えっ・・・?」
「・・・師匠・・・それ、本気で言っているんですか・・・?」
「あぁ、本気だ」
そんなルークにもういらないという理由を説明した上でくれてやると言い切る比古清十郎。ルークはいいのかと呆然と比古清十郎と逆刃刀を交互に見る中、信じられないと言った声でセカンは比古清十郎を強い視線を向ける。
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