時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話

「・・・来たな」
「はっ!甘く見られたもんだな、俺も!テメェみたいな屑が俺を倒すつもりでいるとはな!」
その姿にルークは静かに呟くが、対照的にアッシュは罵る声を盛大にぶつけてくる。
「・・・静かにしろ、アッシュ。ここでもう一度、この戦いにおけるルールを再確認するぞ」
ピオニーはそんなアッシュをなだめつつ、ルールの確認と言い出す。
「この戦いはどちらかが戦闘不能になるまでとする。審判はあえて俺達はしないが、明らかに意識を失った場合や降参した場合・・・そして死んだ場合、その時点で勝者が決まったものとする。それで勝者が決まったならルークの場合アッシュはもうここから出ることなく死んでもらい、アッシュが勝った場合はお前をここから出して以降の行方は追わない物とする・・・いいな?」
「承知した・・・フッ、俺がこんな屑に負けるものか!むざむざ死にに来るとは、どうやらまともな判断も出来ない程に劣化していたようだな!」
「・・・」
それで明らかにされたルールに勝った時の条件を聞きアッシュは意気揚々とルークを罵るが、当の本人は集中するように目をつぶる。



・・・今この場をセッティングするよう願い出たのは他ならぬ、ルーク本人である。では何故ルークがアッシュとの対決を願い出たのかと言えば、それは当人がアッシュを乗り越えるべきと考えたからだ。

元々の『ルーク=フォン=ファブレ』は紛れもなくアッシュ、それは揺るがない事実・・・だがルークは状況がそれを望んでいると言うことがあっても、その日だまりを取ることを選んだ。それもヴァンから代わりの為に何も知らず置かれた時と違い、自分の意志でだ。

だからアッシュの事を許せないと言うのもあるが、その許せないアッシュすらも越えれていないという事を嫌がったが為に自身に枷を課したのだ。アッシュを越える為の機会を施してもらうことで、自身を高める為に。

・・・しかしそうしたいと言っても、アッシュがやる気にならなければ意味はない。だからピオニーからの提案でアッシュにはこの戦いでルークを倒せば自由にするという条件を突き付け、そのやる気を引き出したのだ。何をしても死刑なら自暴自棄になっていてもおかしくない、なら餌を吊るせばどうか・・・ということで。結果アッシュは見事に釣り上がった、戦いに勝って生きる事と共にルークに恨みを晴らせる好機を得られたことに・・・



(・・・俺個人としても皇帝の立場からしても、アッシュよりルークに勝ってほしい物だな。アッシュが勝てばまず間違いなくルークを殺す・・・そして色々能書きを垂れて結局キムラスカに戻る可能性が高いだろうからな。そんなことになれば俺はキムラスカとまともな外交をしたいと思えなくなる)
そんな光景を端から見ながらピオニーは心中でルークを応援する、アッシュが勝った場合のシミュレートをすると最悪な状況に陥る可能性が高いために。
「・・・では始めるぞ、皆両者から距離を取れ(・・・頼む、勝ってくれ)」
だからこそピオニーは場を取り仕切りながらも願う、ルークが勝つ展開を。
‘ツ~~~’
「・・・おい、その刀はなんだ?俺とそんな刀でやりあおうというのか?」
それで皆が距離を取りルークも戦いの準備をせんと逆刃刀を抜くが、その逆刃刀の形を見てアッシュがそれでやるのかと問う。











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