時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話

「とりあえず今日はゆっくり休め。今日はその予定ではないし、ラジエイトゲートから戻ったばかりでお前達も疲れているだろうからな。追って連絡するから下がっていいぞ」
「・・・はい、では失礼します」
それでとりあえずは休めと言うピオニーにルークは頭を下げ、比古清十郎達と共に謁見の間を後にする・・・








「・・・さて、いよいよ数日後に迫った訳だがまた稽古をするか?」
「・・・あぁ。頼む、カクノシン」
「では外に行くぞ」
一同はまた割り当てられた部屋に来たが、比古清十郎からの稽古をするかとの問いに重くルークは頷き二人は外へと出ていく。
「っ・・・」
「心配ですか、ルークが?」
「はい・・・」
その姿を黙って見送りながらも辛いと表情が歪んでいるセカンに、ジェイドが声をかける。
「・・・気持ちはわからないでもありません。ですが貴女がそこまでルークの考えを汲み取ろうとしないと言うことは、彼をただ子供扱いしてるだけになりますよ。それも自立しようとしてる気持ちも認めようとせず、ただ綺麗な事だけ見せたりさせようとして猫可愛がりする愚かな親のように」
「っ・・・嫌な例えをしますね・・・」
「・・・私が言えたことではありませんが彼はレプリカという身の上もあり、人より人生経験という物は少ないと言わざるを得ません。その分のハンデはいかんともしようがありませんが、だからこそ必要以上にやる気を削ぐような事をすればそれはルークの為になりませんよ」
「・・・わかってる、わかってるんです・・・それは・・・」
「・・・でしたらルークの戦いを最後まで見届けてあげてください。ルークの事が心配な貴女は見ていて辛いでしょうが、そんな貴女がその目で見なければいけないんです・・・ルークの事を本当に心配出来る貴女が・・・」
「・・・はい・・・」
それで静かにルークの気持ちを優先するならと説くように話すジェイドに、セカンは理解はしているがと苦渋の表情だったが最後にはその言葉に押されてうなだれそうすると言った。















・・・ルークの強い意志が揺らぐことなく、比古清十郎との稽古をしながらグランコクマで数日が過ぎ・・・ピオニーよりフリングスを一同のいる部屋に送られ、準備が出来たと告げられ元々の予定の時間帯である夜になって一同はその準備が出来たという場所に向かった・・・









「・・・さて、来たか」
「ピオニー陛下・・・」
・・・一同が来たのはマルクト軍の修練場。
大きく拓けた場の中心である場にいたのは、フリングスを側につけたピオニーだった。
「何故来た、って言いたそうな顔をしてるな?・・・見届けに来たんだ、俺もお前の戦いをな」
「・・・そうですか・・・」
「見るなと反対はしないんだな?」
「はい、見ていて楽しい物になるとは思いませんけど陛下にはこの場を用意していただいたので・・・」
「成程な・・・心残りを片付けるというには違うだろうがもし駄目だった場合は丁重に後始末をしよう、だから心置きなく戦え」
「はい、ありがとうございます・・・!」
何故と言う顔をするルークにピオニーは先に見届けに来たと告げる。だが何も言わずただそれを受け入れるルークにピオニーは見るなと言わない理由を問えば、場を用意してくれたから断る理由はないと返しその返答に満足して駄目だった時は任せろと微笑を浮かべる。その顔に応えるようルークも微笑を浮かべ、頭を下げる。
「・・・おっと、来たようだな」
「っ・・・!」
だがそんな時間もルーク達の反対側から現れた影により止められ、ピオニーが気付いた声にルークはそちらに意志のこもった視線を向ける。そこにいたのは・・・



「テメェ、この屑が・・・っ!」
・・・手には抜き身の剣を持ち、純然たる殺意のこもった瞳をルークに向けるアッシュだった。







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