時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話

・・・それで比古清十郎達は来た道を戻ってラジエイトゲートを出て、話に出たアルビオールに乗ってグランコクマに向かう・・・












・・・そして程なくしてアルビオールはグランコクマの近くに降り立つ。



「・・・じゃあノエル、今まで世話になった。気をつけてシェリダンに戻ってください」
「いえ、こちらこそお世話になりました。ルーク様も体にお気をつけください・・・では」
「あぁ」
一同は降り立ったアルビオールの前に集まり、一人入口の前に立つノエルとルークは別れの挨拶を交わし互いに体の向きを変えて動き出す。片方は役目を終え故郷に戻るため、片方はこれより最後に残った重要な事案を片付けるため。






「・・・おぉ、戻ったか。よくやってくれた・・・これで世界の危機は去った、礼を言うぞ」
「ありがとうございます、陛下」
・・・それで一同が来たのはピオニーの待つ謁見の間。比古清十郎達の姿を確認して微笑を浮かべ労を労うピオニーに、ジェイドは形にはまった返礼をする。
「ただ少し申したい事がありまして・・・よろしいでしょうか、陛下?」
「なんだ、ジェイド?」
しかしまだやるべき事が残ってると早速話を切り出すジェイドに、ピオニーも姿勢を多少前に倒す。
「これはローレライよりの進言からなのですが、自分を送ったという事実は出来る限り大勢の者に見せた方がよいのではないのか・・・という話を受けました。それで私達もその意見に賛成をしてローレライをラジエイトゲートでは送りはせず、共に戻ってきたのですが・・・」
「対外的に分かりやすく示しをするかどうか、それを俺に判断しろということか?」
「はい、念には念をと思ったのですが・・・いかがしますか、陛下?」
「・・・まぁ確かに分かりやすい形でローレライが音譜帯に昇ったとなれば、人々も事実を受け入れやすくなるだろう・・・わかった、その件については国内にキムラスカとダアトに達しを送った上で数日後にやれるように場をセッティングしよう。どうせやるなら派手に人々に見せつけた方が踏ん切りもつくだろうからな」
「・・・ありがとうございます」
それでローレライからの発案を明かすジェイドに少し考え込みはしたものの、すぐに了解とピオニーが返した事にジェイドは再度頭を下げる。
「まぁそういうわけだ。確かお前達はラジエイトゲートから帰ったら住処に戻ると言っていたが、どうする?まだこのグランコクマにいるなら、その分の時間部屋は用意させるが」
「当然だ。ここまでしておいて、最後の時になって帰るのも今更気持ち悪くてかなわん」
ピオニーは視線を比古清十郎に向け予定と違うがどうすると投げ掛けると、当人は当たり前だと残ると返す・・・本来ラジエイトゲートに行った後、少しだけ滞在をして余計なことはせずに帰ると比古清十郎は決めていた。とは言え全てが終わるのを見届けずに帰るのは流石に気分がよくなかったのだろう、それが故に残ると決めたのだと。
「わかった、ならしばらく客室でくつろいでいてくれ。時が来たらまたこちらから声をかける」
「・・・あの陛下、いいですか?」
「・・・どうした、ルーク殿?」
そんな比古清十郎にゆっくりするようにと言い渡すピオニーだが、ルークがおずおずと声と手を上げたことに疑問の視線を向ける。
「・・・私がかねてより願っていた件について、そちらは予定通りに進めてください。その方が時間から見ても都合がいいと思いますから・・・」
「・・・っ」
「・・・わかった、それは予定通りに進めよう」
注目が集まる中でルークは願っていた件と抑えた表現で話をするとセカンは痛ましげに表情を少し歪め、ピオニーは反対するでもなく重く頷いた。







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