時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話

・・・ラジエイトゲートの先を進む比古清十郎達。だが比古清十郎達に意図的に対するような敵など今の現状でいるわけなく、ラジエイトゲートにいる魔物を蹴散らしながら先へと進んだ。



・・・そして程なくして比古清十郎達はパッセージリングの制御板の前へと辿り着いた。
「・・・よし、ジェイド。やれ」
「はい・・・」
制御板を前にしてすぐに指示を出す比古清十郎に、すんなりと従いつつ制御板の操作に集中する。
「・・・はい、これで操作は終わりました。そろそろ一斉に大地が・・・っ・・・」
「始まったようだな、外郭大地の降下が・・・」
それですぐに操作を終えたとジェイドが降下が始まるだろうと言おうとすると、途端に足元が下に下がっているような奇妙な感覚が襲ってきたことに比古清十郎がその先を落ち着いて代弁して答える。
「まぁ外郭大地降下が出来ているならそれでいい・・・後は外郭大地が降下しきるのを待つ訳だが、とりあえず最下層に行くぞ。そして降下しきれば即プラネットストームを止める」
「そうですね・・・では行きましょう」
そしてそのままに最下層に行って待つと言うと、ジェイドを皮切りに皆比古清十郎の後をついていく。












・・・それで一同は最下層に辿り着いた訳だが、外郭大地降下が済むまで何時間かかかる上に目を引くような物も周りになかったため少し暇をもて余す事になった。



「・・・くっ・・・」
「フン、大分良くはなってきたな」
・・・時間が空いた、となれば別にやることをやれる。そう考えたのだろうルークがやろうと動いたのは比古清十郎ての剣術訓練。



多少打ち身こそ体のあちこちに作ってはいるものの戦意を失わず強い視線をルークは比古清十郎に向け、その当人は刀を肩に乗せ満足そうな笑みを浮かべる。
「・・・止めなくていいの?」
「・・・止められませんよ、私には。既に話はフリングス少将からピオニー陛下に通してありますし、何より本人の意志が強い・・・私では止められません。それとも貴方がルークを止めてくれるんですか?」
「僕にそんな義理はないよ」
そんな光景を眺めながらシンクとジェイドが止めるかどうかの会話をするがジェイドは止められないと言い、シンクは止める気はないとキッパリ言い切る。
「ま・・・こっちは出来れば止めたいって思ってるようだけどね」
「・・・それはそうですよ・・・」
だが唯一今も止めたいと思っているだろうというシンクがセカンに視線を向けると、不満と不安を混ぜて表情に浮かべて答える。
「だってもうルークさんはこれが終わったら危険な目に合うような事はしなくていいんですよ・・・なのに・・・」
「危険な目に合う、と言いますが・・・ルーク殿はそう言う気持ちではいません、ルーク殿は禊ぎをするためにあえて苦難の道を選んだのですよ」
「フリングス少将・・・」
それでセカンは苦悶の表情に変わるわけだが、フリングス少将が理解をしていると言った声を上げたことにそちらに視線を向ける。
「ルーク殿はおっしゃいました。これを避けたら自分が自分じゃなくなる気がする、だから避けては通れない・・・避けて通ってはいけない、と。ここでこれからやろうとする事を止めてしまえば、ルーク殿は心残りになるでしょう。それこそ一生をかけても忘れられない程の・・・そうしたくないという強い想いを、私は感じました。だから私は陛下にルーク殿の思うようにやれるよう取り計らいました。ただそれをセカンさんが快く思わないのは分かりますが、出来ればルーク殿の気持ちを汲んではくれませんか?例え危険とわかっていても、です」
「っ・・・・・・わかりました」
そこにあった真剣でありルークに対し親身な体勢を見せるフリングスの声と表情に、セカンは何とか返そうとしたものの最後はその言葉に力なく頷いた。その中身がルークの強い意志に満ちた物であると、フリングスの話から否応なしにわかったが故に。







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