時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話

「それに・・・お前達がレプリカ技術を用いなければ、今頃俺は下手をすれば死んでいたやもしれん」
「「「「っ・・・!?」」」」
「え・・・それってどういうことですか・・・?」
だが続いた比古清十郎の自身の死を持ち出す話に一同は驚きに目を剥き、セカンが一同の代表のように何故と問う。
「俺の私見だがヴァン達がレプリカ技術を使わずにいたなら、必然的にレプリカ技術を用いる以外の手段で進んでいたことだろう。そうだったなら俺はセカンに会うことなく、ヴァン達が何をしているかに気付くかどうかは限り無く有り得ない物へと変わっていただろう。そうなれば俺もどうやって動けばいいものか、その指針を見失っていたやもしれん・・・そして結果次第で俺はアクゼリュスの崩落に巻き込まれるだとか、始まってしまった戦争に巻き込まれて何も出来ずパダン平原が崩落して死ぬなどという可能性もあった・・・俺も神ならぬ人の身である以上、何があるかなど想像出来ん。その点でヴァン達がレプリカ技術を用い、セカンと会わせてくれた事が俺にきっかけを与えたな。事態が動いていると知らせるきっかけにな」
「・・・そう聞くとまた随分と壮大なきっかけになったもんだね、何せ国の在り方を変えてヴァン達の事を止めたんだからさ」
もしレプリカ技術がなかったら。そうなった時の最悪の場合を語りレプリカ技術を用いたからこそこうなったのが大きいと比古清十郎が言えば、シンクは頬をひきつらせ呆れと疲れを入り交じらせた声を上げる。
「まぁそういう訳で、意味がない訳ではなかったな。そしてラジエイトゲートに行けば終わる、ヴァンがやろうとしていたことも泡沫の夢となって消える形でな」
「・・・泡沫の夢、ね。意外とあんた、詩的な表現を用いるよね・・・さしずめこの預言に満ちた世界を例えるなら、千夢一夜ならぬ一夢千夜の目覚めってとこ?」
「一夢千夜、か・・・フン、いいえて妙な例えだな。悪くない」
それで話を続けヴァン達の望みも消えると例えて言えば、シンクがその例えに例えを持って更に返し比古清十郎は満足げな笑みを浮かべる・・・千夢一夜とは様々な良夢を一夜にして見ること、それを逆にしたと言うことは預言に満ちた世界が変革することへのシンクなりの皮肉に満ちた例え。故に比古清十郎は笑った、その表現がピッタリと気に入っただけに。
「・・・まぁいい、その目覚めの時もあと少しだ。長く寝た分、多少荒っぽく起こしてもいい頃だな。この世界を・・・!」
そしてそのままに気分を乗せて比古清十郎は呟いた、世界を預言から解放してやると・・・















・・・そんな会話がありながらもアルビオールは目的地に向かって一直線に飛行する・・・そして程なくして一同は辿り着いた、最後のセフィロトであるラジエイトゲートに。



「・・・さて、着いた訳だが手順をもう一度確認するぞローレライ」
『あぁ』
「このセフィロトでパッセージリングを操作した後、外郭大地の降下が終わるまで待つ。そして外郭大地降下が終わったら更にそこの下にある最下層に行き、そこにある譜陣で鍵を使えばプラネットストームを停止させることが出来るんだな?」
『あぁ、それでプラネットストームは止まる。それで後は我が鍵を持って譜石帯に上がれば、もうプラネットストームの再構成は出来なくなる。それで預言も詠めなくなり、障気も出なくなる。もう二度とな』
「そうか・・・なら行くぞ」
それでアルビオールから降り立ち比古清十郎がローレライに再度その流れを確認すれば、それでいいと自身の譜石帯行きも追加して返され納得して一同を引き連れ歩き出す・・・









3/31ページ
スキ