時代と焔の守り手は龍の剣 第二十二話

・・・ケセドニアでキムラスカとダアトの上層部を半ば力付くで納得させたピオニー達はグランコクマに戻った。それからの後はマルクトには属しない比古清十郎達は数日間、内政に忙しなく動くピオニー達を見ていた。

宮廷の前に国民を集めケセドニアでの会談の中身を明かしてもいい部分は存分に明かした上で第七譜石の中身を明かし、外郭大地降下にプラネットストームの停止をすることを決めたと告げた時にはしばらく騒ぎにこそなった。だが根気よく分かってもらえるようにと説得をしたのもあって、その騒ぎも後に尾を引くような物ではなくなった。
そしてそのように内政を固める傍ら、キムラスカとダアトにも手紙を送りそちらはどうかとの情報を交換しながら外郭大地降下のタイミングを計っていた。

・・・そんなやり取りを数度繰り返した後、キムラスカからもダアトからも同じような中身の手紙が届いた。要約すれば『こちらは人々に説明が済んだ、後はそちらが外郭大地の降下をすればそれで終わる』という手紙が。









「・・・さて、来たか」
・・・状況が整った、それで比古清十郎達を呼び出したピオニーは一同が集まったことに真剣な面持ちで喋り出す。
「お前達も聞いたとは思うが、キムラスカとダアトからゴーサインを示された手紙が来た。後はお前達がラジエイトゲートに行き、外郭大地の降下を済ませプラネットストームの停止をしさえすれば全て終わる」
「いよいよ、か」
「あぁ・・・この世界の人間を代表して言わせてもらう。頼む、滅びの詠まれた世界の命運を変えてきてくれ!お前達の手で!」
「言われずともやってやる・・・行くぞ、お前ら」
「はい!」
それでピオニーからの説明及び頼みの声を受け、一同を代表として比古清十郎が返答しセカン達は先に進み出すその後ろ姿に付いていく・・・















・・・そして比古清十郎達を乗せたアルビオールは最後に残されたラジエイトゲートのセフィロトへと向かう・・・



「・・・何だったんだろうね、一体。ヴァンに僕達がやって来た事って」
「・・・どうしたんですかシンク、いきなり?」
そんな中でシンクがポツリと漏らした一言に、ジェイドが何事かと問う。
「だってこうやって世界は変わろうとしてるじゃないか、ヴァンが望んだような形じゃなくカクノシンが望んだような形にさ。ヴァンのようなやり方でなくても全然預言を変えられる、そう思ったら意味ないんじゃないかって思ったんだよ・・・今までやって来たことはね」
「いや、そうでもない」
「え・・・?」



・・・その声にはどこか情けないと自分達を嘆く感情がこもっていた、自分達の行動が何も意味がなかったという事を思って。



だがそんなシンクの声を否定したのは、ヴァン達の野望を阻止した張本人と言っても過言ではない比古清十郎。そのまさかな人物からの返答にシンクは意外そうな目を向ける。
「お前達が起こした行動は預言からの脱却が目的だった、それが誉められないものであるのは間違いないがな。だがそれでもキムラスカにマルクトにダアトの者に動揺を与えたことは否定は出来ん、預言に従うことの意義を見失わせるきっかけとしては十分過ぎるくらいだ・・・それにお前達の行動が無ければ俺はセカンに会うことは出来なかった、その事については感謝をしてやってもいい」
「えっ・・・師匠・・・!」
視線が向けられる中で語るのは、厳しくは言いつつも預言を見直すきっかけとしては十分と言うもの。更にはそれに加えセカンに会えたということ・・・そう笑みを浮かべて言う比古清十郎に、セカンはいきなりの事に戸惑いながらも喜色を浮かべた。









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