時代と焔の守り手は龍の剣 第三話

「その答えは私からルークさんにあげることは出来ません。私とルークさんでは立場も違いますし、考え方も違います。私が辿り着いた結論がルークさんの望む結論という風には私は思えません。それにティアさんにジェイドさんに聞いても納得はしても、それを丸々受け入れる事が出来るとは思いません・・・だから酷だと思いますけど、この答えはルークさんが自分でしか見つけるしかありません・・・」
「そう、なのか・・・」
自身の経験とルークの性格を考えて前を歩く二人に聞いても答えはないと真剣にセカンは告げ、ルークは話の間上げていた顔を再び下げ暗く俯く。
「ですが言葉を送れなくても、今私が貴方に対して出来る事はあります」
「・・・えっ?」
しかしセカンはルークに対して考えたことを述べようと、ルークもその空気を察し顔を再び上げる。
「今の貴方に必要なのは自分の中にある悩みに対して、ゆっくり考える時間です。早急に結論を出してしまったら、もしかしたら貴方の本意でない結論を結論として否応なくこれから辛い時を過ごす事にもなりえます・・・だからせめて、私が貴方の側にいる間ですが」



「私が・・・貴方を守ります」



「・・・セカンが俺を、守る?」
セカンの宣言がルークに届く、あまりにも自分以外には孤独な立場で周りの人間に理解されない人物に。
だがルークはいきなりの宣言にまだピンと来ていない様子だ。
「信用出来ませんか?女の私が守るといった、この言葉を・・・」
「い、いや・・・腕はあのラルゴって奴を倒す時見たからそんなことはないけど、なんでそこまで俺に・・・?」
そのルークを安心させようと言葉を紡ぐセカンにルークは腕はともかくと、自分を守ろうと思ったのかと本質的な理由を問う。
「今言いましたが貴方には考えをまとめる時間が必要です。ただ今の現状で迷いがある貴方を私以外がそっとしておくとは思えません。そんなルークさんを無理に戦わせたくない・・・私はそう思ったから、守ると言ったんです」
「・・・そうなのか・・・」
その答えにセカンは自身の紛れも無き本音を伝え、ルークはその本音に考えるよう目を背ける。
(・・・このままこの人を擁護する人がいないままだったら、ホントにまずい・・・)
・・・そう、本音を伝えているのは嘘ではない。ただルークは気付けていなかった、セカンが周りがルークをそっとしておかないと言った中に含めているのがティアとジェイドにアニスやイオンもだということを・・・



・・・セカンの中でティア達の印象という物は短い間ではあるが、非常に信用するには難しい人物達だと位置付けられていた。そして自分とはあまりにも価値観が違いすぎるとも。

そうなるに至った理由は人の感情の機微に疎い事と自身の意志の方をまず先に優先する事があるからだ。

・・・言いたい事を言うだけ言い、セカンとルークの不満を省みようとも意見を取り入れようともしない。ルークの不調は明らかに目に見て取れるのに、まるでそれがどうしたと言わんばかりに気付きもしないし見てすらいない。

それだけでもセカンのティア達に対する信用は相当失っているのに、更に拍車をかけている事実はまだある。



(あの人達、戦えるから・・・剣を持ってるからって理由だけで、人を斬った事もないルークさんを戦闘しなきゃいけなくなるような場所に見張りに置いてる・・・見張りの場にいた時は一人だとは言ってないけど、どっちかが一緒にいたとしても‘人を斬らせてしまった’事実は変えようがない・・・それがどれだけ危険な意味かもわからず・・・)
セカンはルークから目を離し、さっさと前を歩く二人をチラッと見る。セカンには珍しく、嫌悪がこもった目で。



・・・そう、二重の意味で危険に満ちた状況を作ったブリッジの見張りをルークに任せた件がセカンの心を著しく荒ませていた。










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