時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

・・・それで比古清十郎はマルクト側の入口へと向かう。
「・・・あっ、師匠。お帰りなさい」
「あぁ」
そこにはちょうどアルビオールの方に向かおうとしていたピオニー達がいて、セカンが比古清十郎に気付き声をかける。
「そっちはうまくいったか?」
「はい、こちらは事情を理解してもらいました。今からグランコクマに戻りますので、師匠も一緒に戻りましょう」
「あぁ、元よりそのつもりだ・・・行くか」
「はい」
挨拶もそこそこに軽く会話を交わし、簡潔に比古清十郎は一行に加わり共にケセドニアの街を後にする・・・












・・・それでアルビオールに乗った比古清十郎達は一路、グランコクマへと向かう。



「・・・これで後は外殻大地の降下にプラネットストームの停止をすればいい、と言いたい所だがマルクト全土にこの報せをするべきだな」
「そうですね・・・ケセドニアでのことは少なからず噂にはなっているでしょうが、マルクト全土に渡るほどとは言えないでしょうし改めて公式に報せるべきでしょう。それでキムラスカとダアトもそうするでしょうから手紙を送りあって足並みを揃えてからやるべきです」
その中でピオニーとジェイドは話し合う、後の対応の事を。
「そうなると少しそれらに時間が必要な訳だが、ローレライにカクノシン。少し待っててもらえるか、状況を整えるまで」
『我はそれで構わん。2000年近くも地核で待っていたのだ、それくらいの時間は待てる』
「俺もそれでいい。急いて事を仕損じては何にもならん」
それで準備をするなら時間が必要とピオニーはローレライと比古清十郎に大丈夫かと確認を取れば、両者共に了承を返す。
「なら決まりだ・・・グランコクマに戻ってから情報の開示に国内の平定、そしてキムラスカにダアトの返事を待つため数日は時間を取る。その後にお前達には動いてもらうぞ・・・外殻大地の降下にプラネットストームの停止、そしてローレライを音譜帯への送り出しをな」
「あぁ、わかった」
了承が返ってきた事で空気を引き締めピオニーは今後の流れを明確に告げる、二つの事柄に加えローレライの送り出しを。



・・・ローレライの目的である音譜帯へ行くこと、それはピオニー達もやるべきことと見定めている。それはローレライの目的が害がないというのもあるが、ピオニー達から見て益があることも起因していた。

ケセドニアでその存在をアピールしたことでローレライは実際にいると世界に伝わるだろうが、反面その存在をどうにか利用しようとする輩が出かねない。ピオニー達はそんな事態を避けるために前もってインゴベルト達に話を通した上で決めたのだ、プラネットストームを止めるときにローレライを音譜帯に送り出すことを。



「・・・師匠、いよいよですね」
「あぁ・・・ローレライを音譜帯に送り出せば終わりだ、後はピオニー達に任せればいい。預言が詠まれなくなった後の世界をな」
・・・話も一段落して、落ち着いた所に横に座ったセカンの小さな声に比古清十郎も答える。
(・・・ただその時は同時に飛天御剣流も役目御免になる時、セカンが『比古清十郎』の名を継承する必要はない・・・)
しかしその中で比古清十郎は心の中で考える、流派を継承する必要はセカンにはないと。
(だがセカンは俺を倒して継承者になると言っている・・・わざと負けてもセカンの為にならんし、俺もむざむざ負けてやる気はない。さて、どうしたものか・・・)
だからこそ比古清十郎は真剣に考える、いかにして自分でそれを終わらせることを納得してもらうかを・・・ただいつまで経っても自分が負けることを考えない辺り、自信に満ち溢れた比古清十郎らしい悩みだった。















変革の時は訪れた



良くも悪くもこれよりは変わる、変わらざるを得なくなる



それは変革を促した者にとっても同様である



next story











35/36ページ
スキ