時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

・・・そして場は解散となり、インゴベルト達はキムラスカの領事館に向かいトリトハイム達は宿に向かった。



「・・・おそらく明日はピオニー陛下の目論見通りになるでしょうね」
「・・・買いかぶりすぎだ、まだ結論は出ていないぞ」
「いえいえ、私の経験上最早外殻大地の降下はまず間違いなく認められる・・・というよりはやらなければならないとあちらもお気付きになるでしょう。そしてその上で恐らく今頃相当に物議を醸し出しているでしょうが、プラネットストームの停止は避けられないと共に見ると思われます。このままプラネットストームを放っておけば、世界そのものが滅びる事になりかねませんからね」
・・・そして最後に残ったマルクト勢だが、アスターがピオニーに話し掛けた為にまだ退出せずに留まっている。そしてその中身はアスターからの予測だった、成功は見えているという。
「・・・それでなのですが、一つよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「私個人としましてはピオニー陛下のおっしゃるよう、プラネットストームを停止することに賛同しています。こちらも滅びの道など選びたくはありませんし、預言にこそ詠まれてはいませんでしたがマルクトが滅びた後に病が来るとしたならカイツールかこのケセドニアの可能性が非常に高くなります。そう考えればケセドニアは比較的早くマルクトの次に滅びるでしょうし、位置的な物から見て到底避けようとして避けられるとも思えません。ですがそのような事態は私はごめん被ります・・・ただそう思うからこそ、私は一刻も早く明日決定になるであろうそれらの決定事項を人々に伝えたいのです。外殻大地の降下、プラネットストームの停止、そしてその結果音素の恩恵がなくなり預言が詠めなくなる事を。そうすることが世界を救うことに繋がる、ということを」
「・・・だから明日事が済み次第早く事実をここから公表するように俺からインゴベルト陛下達に働きかけてほしい、そう言っているのか?お前は」
「はい、そう申し上げています。正直私だけの言葉ではインゴベルト陛下達は即断はしていただけないと思いますので、ピオニー陛下のお力添えが欲しいのです」
ただ、と前置きを置いて更に話をしたいと求めるアスターにピオニーは先を求める。それで了承を得られた事にアスターは真剣な表情を浮かべケセドニアの為にもと言った上で事実を明かしてくれるよう、ピオニーに頼みたいと言う。
「・・・分かった。人々にこの事態に関して知ってもらうことは重要だからな。もし明日の会談でうまく場がまとまったなら、俺がその事を切り出そう。そして可能ならお前の方からも俺を援護するように何か言ってくれ。出来るな?」
「イヒヒ、もちろんでございます。世界の為ですからね、それくらいは喜んでやらせていただきます」
それでピオニーは話に筋が通ってるのもあり了承をしつつも協力はやれるならやれと言えば、アスターはいつもの独特の笑いを浮かべて頷く。
「ならいい・・・話は済んだようだから俺達は領事館に戻る。また明日、その時は頼むぞ」
「はい、お待ちしております」
ピオニーもまた軽く頷きつつも、そろそろ戻らんと切り出す。アスターがそれにすんなり頷いた事でマルクト側の一同は一斉に動き出し、屋敷を後にする・・・








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