時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

「そしてそうなる事態を避けるためには唯一、プラネットストームを止める以外にありません。プラネットストームが動き続ける限り、障気が出る可能性を無くすことは出来ないのですから」
「・・・・・・そしてそれを決断せねばこの世界は滅びる、という事か。外殻大地を魔界に降ろさねばいずれ世界そのものが崩壊し、それでそちらがしばらくは大丈夫と処置を施したがプラネットストームを止めねば遅かれ早かれ障気により滅ぶと・・・」
「そう言うことです」
そんな一同に更にだめ押しをするようにプラネットストームを止めることを推せばファブレ公爵が力なくもその話を確かめるように声を上げ、ジェイドはそうだと頷く。
「・・・信じられん・・・預言にはキムラスカの繁栄が詠まれていたのに、それが嘘だとは・・・」
「嘘ではない、あくまでも預言に詠まれたのは十数年かの繁栄に過ぎん・・・だがちょうどいい、導師。詠んでもらえるか?」
「・・・はい」
「・・・それは、譜石・・・?」
インゴベルトがその事実から逃避するように呆然と呟く中でピオニーは頃合いだと第七譜石を詠むようにイオンに願い、そのイオンが取り出した譜石に一同の視線が集中する。そして詠まれ始める、オールドラントの終末が詠まれた預言が・・・









「・・・『かくしてオールドラントは障気によって破滅され塵と化すであろう。これこそがオールドラントの最後なり』・・・これがこの譜石に詠まれた預言になります。そして貴殿方は信じたくはないでしょうが、これが・・・第七譜石です」
「・・・ば、馬鹿な・・・第七譜石に詠まれた預言がそのような物だったなど、信じれん・・・!」
「・・・それ以前にも何故第七譜石をイオン様が持っているのか、というのもですがその譜石はどこにあったのですか・・・?」
・・・それでイオンが覚えていた預言の中身を言い終えた所で代表するようにインゴベルトが最大限の驚きと共に否定の呟きをし、トリトハイムが第七譜石の出所を疑惑と興味を入り交じらせて聞いてくる。
「・・・第七譜石の出所に関して言うならこちらが手に入れた物を導師に詠んでもらったのだが、その提供者に関してなら今出てきてもらう」



「頼む、ローレライ」



「ローレライ・・・?」
『うむ、承知した』
「「「「!?」」」」
・・・その声に代返したのはピオニーだが、そこで比古清十郎の事を上げずに名前を出したのはローレライ。その名に何をと言った視線をピオニーはキムラスカにダアト側から向けられるが、ジェイドの元から声と共にローレライがマルクト側の人間の頭上に現れたことでキムラスカとダアト側の驚愕の色が先程より更に強まった。
「・・・驚かれたようだな。だが無理もない。こちらもジェイド達が外殻大地降下の件に際し地核に飛び込んだ時、奇跡的に接触する機会があってその身を地核から引き上げることが出来たらしいのだからな」
「地核・・・そこにローレライがいて、第七譜石もローレライからいただいたものだと・・・」
『そういうことだ』
「・・・っ!」
ピオニーはそんな一同に嘘の説明をしていきトリトハイムが呆然とその先を予測したら、ローレライから肯定が返ってきたことで愕然とした様子で絶句する。



・・・何故ここで比古清十郎が第七譜石を提供したのかを言わないのかと言えば、本人がそれを拒否したことに起因している。

元々預言を覆すことを目的としていた代々の『比古清十郎』達で第七譜石を受け継いできたが、全てが終わった時に飛天御剣流も共に歴史に残らない事を前提にしていた。その名と流派が新しい時代が作られた時、役目を終えるものとしていたが為に。

ただそれだけなら匿名という扱いで存在を明らかにすることも出来た、これくらいなら比古清十郎も許しただろうしピオニーもそうしただろう。ただここで第七譜石を誰でもいいから『人』という存在が持っていた、となったら事態がこじれかねないとピオニー達が考えたのだ。こんな内容の譜石は見つかったが、他に繁栄が詠まれた預言があるのではないか・・・『人』が見つけられたのだからまた誰か見つけるかもしれない、いや下手をすれば預言の内容を捏造して誰かが第七譜石を持ってきたとうそぶくやもしれない。そう考えた。

だからこそピオニー達はローレライと話を合わせ第七譜石はローレライよりもたらされたものだということにしたのだ、余計な希望を与えないために。









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