時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

「勝手で済まないとは思うが、我々は外殻大地降下の影響がないように処置を施した。後は外殻大地を降ろせばディバイディングラインの下に障気の押し込みが出来る、地上に出てこないように自動的にな」
「な、なに!?それは真か!?」
「ただし、その効果はそう長い間は持たん。持っても十数年かそこらというのが技術者達の見解だ・・・さて、ここで問おう。貴殿らは下手をすればこの1年やそこらで堕ちきってしまうだろう外殻大地と命運を共にするか、一先ず障気が収まり崩落の危険がなくなる外殻大地降下・・・どちらを選ぶ?」
「「「「・・・っ・・・」」」」
それで勝手と言いつつ全く悪びれず自信を覗かせてやることはやっていると言うとインゴベルトはたまらず食い付いてくるが、すかさずピオニーが一応のリスクを告げつつ選択の余地のないニ択を上げたことで、インゴベルト以下のキムラスカとダアト陣が一気にその選択肢に緊張感たっぷりに息を呑む・・・その様子を察するにあまりの重要な情報な為、一同どう判断していい物かと思っているのだろう。
「・・・一つ、よろしいですか、ピオニー陛下?」
「・・・何だろうか、ファブレ公爵?」
そんな中でキムラスカ側の代表の形で質問を投げ掛けたのはインゴベルトの隣に座っていたファブレ公爵で、ピオニーは視線と発言を許可する声を向ける。
「・・・おそらく結果として言うならその外殻大地降下、それはこの世界を存続させる為には必要かと私は思います。ですがそれでもそちらの施した処置とやらは持って十数年とのこと・・・他にその、障気をどうにかする方法は見つからなかったのでしょうか?」
「・・・成程、そう言うことか」
それでファブレ公爵から出たのは他の手段の有無を問う声で探るような鋭い視線がついてきたことで、ピオニーは重く頷く・・・迂闊な事を言えばファブレ公爵はそれをすかさず突く、そう見えた為に。
「・・・結論から言うなら、プラネットストームを止めぬ限りはどうにもならないとの事だ」
「「「「っ!?」」」」
「なっ!?それは、どういう事なのですか!?」
「その詳細についてはジェイド、お前から説明しろ。プラネットストームの仕組みに障気がどうやって出現するかの細かい成り立ちはお前から言ってもらった方が早い」
「はっ、かしこまりました」
そんな姿に小細工はいらないと結論からぶつけたピオニーにキムラスカにダアトにアスターが驚きファブレ公爵の顔に声が動揺で揺れる中、ピオニーはここで説明役を交代すると告げ説明役を任されたジェイドは了承の声を返し説明を始める。障気はプラネットストームが動き続ける限り避けられない物、そう理解させるために・・・















「・・・という訳です。プラネットストームが動き続ける限り、障気の脅威は避けられません。そしてまた、音素の使用量も障気の発生を大きく招く一因になります・・・そして確実に言えることは一つ、創世歴の技術でもプラネットストームより発生する障気をどうにかする事は出来なかったというのに、今の技術で障気を完璧に除去するなど到底出来るはずがありません。それこそプラネットストームを止めない限り、いつ復活するか分からない障気に怯えながら暮らさねばならなくなるでしょう」
「・・・・・・だから、障気を無くす為にはプラネットストームを止める以外にないと・・・」
「そうなります。例え出来る限り音素の使用を抑えて細々とでも音素の恩恵にあやかろうとしても、いつか来る限界は避けられません。むしろ事態の解決の先送りなどという事をすれば、障気発生の後の事後対応が遅れそのまま世界が滅亡という事も有り得るでしょう。障気障害の顕著な症状が出るまでには個人差があるので、国の上層部の人間がなってしまえば尚の事危険です」
「「「「・・・っ・・・!」」」」
・・・そしてプラネットストームと障気の因果関係を説明し終わったジェイドだが愕然として信じられないと声を上げるファブレ公爵に、事態の先送りなど許さないとばかりに障気が出た場合に国の上層部の人間がかからない保証はないと言い、キムラスカとダアト陣の表情に恐怖が走る。











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