時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

・・・その後控え室に通されたピオニー達。それから少しの時間全く後ピオニー達の元にアスターより使いを寄越され、会談の場として整えられた部屋へと通された。



「・・・すまない、待たせてしまった」
「・・・いや、こちらも今来たばかりだ。気にしないでいい」
・・・そこでピオニー達が見たのは細長く大きなテーブルの片側に陣取ったキムラスカ陣営とダアトの詠師達の姿で、奥のテーブルの端に陣取った家主であるアスターに一番近い位置にいたインゴベルトがピオニーの言葉に首を横に振る。



(・・・どこかピリピリした空気が漂ってる。やっぱり向こうは抵抗しようとしてるんだろうな、マルクトの良いようにされないようにって。それでこっちも引けない想いがあるからそれが緊張感となって・・・これが政治の場・・・)
・・・そのやり取りを見た瞬間セカンはただならぬ空気を感じ取り、それが政治の場に流れる独特の真剣な空気だと考えた。
(・・・向こうが何を仕掛けてくるか分からないから、向こうの動きを警戒しないと・・・!)
その空気にピオニー達が席に着く中、セカンは一人マルクト兵と共に立った状態で向かい側にいるキムラスカ兵士達の動向に目を光らせる。



「さて・・・まずはこちらからの呼び掛けに応えていただいたことに礼を言わせていただこう」
「いや、こちらとしても聞き逃してはならん情報をもらったのでな・・・」
・・・そんな緊張感に満ちた中でピオニーは会談の口火を切るように礼をと言うが、インゴベルトは探るように視線を向ける。
「パッセージリング及び外郭大地の件に関してはそちらのダアトの方々もご存知の筈だが、いかがだろうか?」
「えぇ、それは・・・こちらもパッセージリングの事は承知していますが、パッセージリングの危機という事は今まで考えたことがありませんでしたのでなんとも・・・」
「成程、パッセージリングの特性についてよく調べていなかったということか・・・ではまずその事について詳しく説明しよう、シンク殿からの説明も交えてな」
「シンク・・・?」
そんな視線に今度はインゴベルトにファブレ公爵の横に座ったトリトハイムにピオニーが質問を投げ掛けると、実態は把握してないといった答えが返ってきたことにシンクと一緒に説明をすると言い出す。その事にトリトハイムは何故シンクと首を傾げるが、構わずピオニーは説明を始める・・・ヴァン達の考えていた計画も交えた上でいかにパッセージリングが危ないか、その危険性を調べたからこそやったことというのを印象つけるために・・・















・・・結論から言えばピオニーの目論見は成功したと言えよう。

始めこそヴァン達が起こした行動を信じられないといった声がキムラスカにダアト側から上がりこそしたが、そこでピオニー達からアクゼリュスが消滅することを詠まれた預言がありそれを覆す為にルークをさらった上でヴァンがアクゼリュスのパッセージリングを壊すつもりだったとシンクから聞かされた事で二組共に絶句してしまった。特にキムラスカ側の驚きは七年前の『ルーク』誘拐もヴァンのやったことだと言われたことで、殊更に言葉を失った・・・その際にアッシュとルークの入れ換えがあったと言わなかったのは、存在を残さないようにすると決めたピオニー以下のマルクト勢としては当然の物と言えた。

それで会話の流れを一気に自らの元に持ってきたピオニーはそのヴァン達の調べの上でパッセージリングが危なく、遠くない内に外郭大地が全て魔界に壊れ堕ちることになると印象付けられた。今のままなら預言などあってもなくても関係無く世界は滅び、そしてヴァン達がいかに危険であったことを。










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