時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

「さて・・・皆揃ったな。まず早速だが、会談の日取りが決まった。とはいってもこちらで勝手に使わせてもらっているアルビオールがあるため、この後に出発すれば余裕を持って間に合うくらいの時間だ。だからこの後に俺達はアルビオールに乗って出発することになる・・・という訳でルーク殿、ローレライの鍵をジェイドに渡してくれ」
「はい・・・」
「・・・確かにお預かりしました」
それでピオニーの言葉からどうするかとの流れを告げられ、その中で鍵を渡すように言われてルークはジェイドにローレライの鍵を手渡す。
「護衛に関しては現地のマルクト兵に話を通してあるため、アルビオールに乗るのは今まで乗っていたジェイド達に加え俺にゼーゼマンだ。ノルドハイム以下の臣下は俺がいない間のグランコクマを頼む」
「「「「はっ!」」」」
そして次にどう言った配置で動くのかと指示を出すピオニーに、ノルドハイムを始めとした場にいる者達が一斉に敬礼を返す。
「では誰か他に何も言うことはないな?・・・なら行くぞ、世界の命運を左右する会談の場にな」
「「「はっ!」」」
それで最後に確認を取ってから玉座から立ち上がり出発を宣言をするピオニーに、場に付いていく三人の軍人達の敬礼の声が辺りに響く。そして謁見の間を出るために足を運ぶピオニーを始めに比古清十郎達も動き出し、ルークは一人脇にどいてその光景をジッと見詰めていた。その姿が謁見の間からなくなるまで・・・















・・・それで謁見の間から出てグランコクマから出たピオニー達はアルビオールに乗り込み、一路ケセドニアへと向かう。



「・・・時にだが、一つ聞いていいか?」
「・・・なんだ?」
その中でピオニーは座っていた座席から通路を挟んで向かいに座っていた比古清十郎へと視線を向け、慎重に問い掛ける。
「お前は事が済んだら、どのように暮らすつもりだ?」
「どのようにもない、今までのように暮らすだけだ。預言が詠まれなくなったからと言ってやることなど別に変わらん、ただ気ままに陶器を焼くだけだ」
「・・・らしい答えを平然と出すんだな。お前のやったことはこの世界を救う程の功績だ、本来なら世界に英雄として名を残せるくらいのことをしているのだがな・・・」
「そんなものいらん。飛天御剣流の理は時代の苦難から人を助けると共に、預言を覆す為の物だ。そして預言が覆される・・・それが達成されようとしている今、もう俺は表に出る気はない」
「そうか・・・お前の意志があるなら、マルクトに迎え入れたかった所だったがな・・・」
それで質問をしてこれからのことを聞くピオニーだが、一切気持ちを変えることはないと揺るぐことなく比古清十郎が返した事で苦笑を浮かべて迎え入れを諦めると告げる。












・・・そこからは特に何も会話するでもなく、アルビオールはケセドニアに程無くして辿り着いた。



「・・・さて、ケセドニアに着いたが・・・セカン、お前は会談の場にいろ。実力行使に出ることも考えられん訳じゃない、状況に応じて行動しろ」
「はい」
「グランコクマに戻るとなった時に戻ってくる・・・じゃあな」
それで街の入口に差し掛かった所で比古清十郎の指示にセカンは頷き、それを受けて戻る時の事を言って一足先に街の中に入っていく・・・
「・・・ではアスターの元に向かいましょう、ピオニー陛下。少し早いですが、彼なら快く迎え入れてくれるはずです」
「そうするか」
その光景を見届けた所でイオンがアスターの所に行こうと言い、ピオニーも頷きケセドニアの街の中へ一同は歩き出す・・・







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