時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

「さて・・・後は日取りが決まったならルーク殿はその鍵をこちらに渡してくれ、その時は鍵ごとローレライを連れていくつもりでいるんでな」
「はい、わかりました」
「ローレライもそれでいいか?」
『承知した』
比古清十郎に話が通った所で今度はローレライを連れていく手順をピオニーが告げれば、ルークもローレライもすんなり頷く。
「・・・後は他に何も言うことはないから、貴殿らは部屋でまたゆっくりしていてくれ。こちらもケセドニアまで遠出する以上、通常の執務をいない分も含めてやらねばならんのでな」
「そうですか、わかりました。では私達はここで失礼します」
それでそこで言うことも無くなったから戻ってくれと言うピオニーに、イオンが代表して頭を下げ一同は謁見の間を後にしていく・・・















・・・そして場所は部屋、ではなくグランコクマより外に出た平野部。
「はああああっ!」
‘キィンッ!’
「甘い」
‘ズザッ’
「うわっ!・・・クソッ・・・!」
そこでルークと比古清十郎が対峙して、二人は剣術稽古に勤しんでいた。とはいっても振りかぶった逆刃刀を比古清十郎に軽々刀で受けられたばかりか、軽く押し返されルークは地面に背中から倒れ込む。だがそんなことなど大したことでないと言わんばかりにルークは身を起こし、闘志に満ちた目を比古清十郎に向ける。
「・・・すごく厳しいですね、騎士団の中でもこれ程厳しい訓練は見たことがありません・・・」
「何を言う、この程度でも優しいくらいだ」
そんな光景を傍らで見ていたイオンが少し愕然としたように呟くが、比古清十郎は刀の峰部分を肩に乗せ優しいくらいだと言いニヒルな笑みを向ける。



・・・さて、何故グランコクマから離れた場所に三人がいるのかと言えばルークが空いてる時間が勿体ないと稽古を比古清十郎に密かに申し出たからだ。それで本来なら二人きりで抜け出すはずだったのだが、途中でイオンと遭遇した為に二人は流れで連れていくことになったのだ。



「・・・ルーク、決心を取り下げる気はないんですか?」
「・・・んだよ、イオン・・・」
そんな笑顔を見た後辛そうな表情でイオンは再度の意志確認を取る・・・イオンはこの剣術稽古をする先に何があるのか、ルークから聞いた。その剣術稽古をやる意味がわからないから聞いたのだが、その目的にイオンは複雑な想いを抱かざるを得なかった。だがそんなイオンにルークは立ち上がったと思えば、全く動じた様子を見せない視線を向ける。
「今更決心を取り下げる気はねぇ・・・俺にとって避けられない問題なんだ、俺が『ルーク』であるためにはな・・・それでダメなら預言とか関係無く、俺はそこまでの奴だったって事・・・それだけだ・・・」
「・・・ルーク・・・」
それで意志を変える気はないと言いつつも死を覚悟して少し暗くうつむくルークに、イオンはそれ以上の言葉を失う。
「・・・さ、続きだ。行くぞ、カクノシン!」
「来るなら来い」
「・・・」
それでルークは視線を比古清十郎に戻し、稽古の続きだと再び勢いよく斬りかかる。イオンはその光景をただ複雑な表情で見守る以外に出来なかった・・・


















・・・各自思い思いに過ごして時は経ち数日後、再三ルーク達は謁見の間へと集められた。







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