時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

「分かっていただけたなら何よりだ・・・それで続いては導師だが、貴殿にはかねてよりやってもらおうと思っていた事がある。それはこの第七譜石が本物であるとの証人になってもらいたいということだ」
「あ・・・それは私に、第七譜石を詠むようにとの依頼ですか・・・?」
「大丈夫、あくまでこの譜石は詠むフリをしながら中身を思い出して口にしてもらえればいい。流石に詠んで体調を崩すような代物をもう一度詠ませるつもりはこちらにもない、あくまでこれが本物の第七譜石であると証言してほしいのだ。我々だけではその中身が本当であるかを理解してもらえるか怪しいのでな」
「そうですか・・・わかりました、やらせていただきます」
そんなルークから視線を変えながら手元から第七譜石を取り出し、イオンにピオニーは会談の時に本物であることの証明をしてほしいと願う。最初はどこか複雑そうな表情だったが、詠まなくていいと言われて少し安心したようにイオンは申し出を快諾する・・・流石に詠んで体調が著しく厳しくなるものを再度詠むのはキツいと思ったのだろう、これは痛みを避けたいという心理から言えば仕方ないものと言えた。
「後はいつやるかという事を決める事だが、これは何度かやり取りをして都合のつく日を算段すれば問題ない・・・後残る問題は一つ、ローレライについてどうするかだ」
「ローレライ・・・」
『・・・我の事か』
そんな姿を見て次の話に入るピオニーだが最重要という空気を重く出して話すことから、ルークは腰元の鍵を見て名を呟きローレライ当人も重く声を上げる。
「こちらもこの数日で考えたのだがな・・・やはりローレライの存在を目の当たりにさせねばキムラスカもダアトも容易には第七譜石の事も含め簡単に納得してくれないと思うと同時に、その存在で早い理解を得られると思うのだが・・・やはり特にダアトの目という物を考えると確実に安全な物になるとは思えないからな」
『・・・そなたらは我を奪いにかかると見ているのだな?』
「目立った兵力を持ってくるとは思わんし必ずそうするとも限らんが、用心にこしたことはない。それにおそらくその時以外にお前の存在を国に示す絶好の機会などないだろうからな・・・お前には是非についてきてもらいたい。だがそうするとなれば、それだけの危険も当然出てくる・・・だから困っているんだ、どうやれば無事にトラブルを起こさずに終えられるかとな・・・」
「「「「・・・」」」」
ピオニーとローレライの重い話に、周りは一斉に暗く考え込む・・・その会談の時に限らず何もない保証などないのだ、それをどうにか無いものとするにはどうするべきか・・・ローレライの安全をどうにかしなければならない、それは最重要の課題と言えた。
「心配はいらん、そっちは俺に任せろ」
「えっ・・・カクノシン?」
しかしそんな時に自信を覗かせ口を開いた比古清十郎の声に、一同の視線は一気に比古清十郎へ向いた。何を言うのかと。
「・・・お前に任せて大丈夫なのか?」
「あぁ。だが一つ言っておく。俺の事はケセドニアに着いてからは知らぬ存ぜぬで終始通せ、俺は単独で動く。そしてお前達はお前達で動け、その問題については勝手に片付けてやる」
「・・・そうか、なら任せる」
「あぁ」
その中でピオニーは覗き込むように確認を取るが一切迷いなく返す比古清十郎に、深く追及することなく頷いて返した。






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