時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

「イオン・・・お前が自分の感情に従って動きたいってのは分かる、それで誰も彼もを救いたいことも。だけどそんな感情だけで選ぶ選択じゃ本当の意味じゃ先には進めねーんだ、その場しのぎで後を濁すだけじゃ・・・だから考えて欲しい、本当の意味で色々考えて選択することを・・・じゃないとこれからずっとお前、流されっぱなしで誰にも抵抗出来ないまま終わっちまうぞ・・・」
「・・・流されっぱなしで終わる・・・・・・フフ、今思えばそうだったのかもしれませんね・・・僕が今まで選択してきたことは流れに沿って感情に満ちた発言ばかり・・・ティアにアニス、それに他の人達も全て救いたいと自分の気持ちを押し出していた。それが正しいかどうかを考えることもなく・・・」



・・・ルークの実感に満ちていて確かな懇願が込められた言葉は、イオンの心に確かに届いた。



イオンはルークからの声に自嘲の笑みを浮かべ実感に満ちた声を漏らし、独り言のように今までなら絶対になかったティアとアニスを擁護する自身の判断を是としない言葉を呟く。
「・・・すみません、ルーク。貴方の言葉に僕がやるべきことが見えた気がします・・・本当に、ありがとうございます」
「・・・気にすんな、お前の姿が見てらんなかったから色々言いたかっただけだ」
そしてようやく今までの悩みから吹っ切れた様子の晴れやかな笑顔を見せ頭を下げるイオンに、ルークも微笑を浮かべて返す。
「・・・これから僕もこれからの世界の為に何が出来るか、部屋に戻って真剣に考えてみようと思います。ありがとうございました、ルーク」
「おう、気にすんな・・・また明日な」
「はい・・・!」
それで部屋に戻ると晴れやかな表情を浮かべるイオンをルークもまた、満足そうな表情でその姿を送り出す。
「・・・・・・むっ」
「あっ、カクノシン」
すると少しして姿の消えたイオンと入れ替わるように来た比古清十郎がルークがいることに気付く。
「今導師が晴れやかな表情をして横を通り過ぎていったが、お前が何か話したのか?」
「あぁまぁ・・・そんな大層に聞かせるような話でもないんだけど、やるべきことが見えたって言ってたよ」
「そうか・・・ならいい、これで潰れるか見極めるためにも発破をかけようかと思っていたが必要無くなったようだからな」
「えっ・・・まさかお前、その為にわざわざイオン探してたのか?」
それで何をしていたのかと聞かれルークは正直に事の経緯を話すが、比古清十郎がニヤリと言った言葉に意外そうに目を瞬く。
「外殻大地の降下にローレライの解放が終われば俺も飛天御剣流もお役御免になる予定だからな。その時になってダアトが不祥事を起こして俺が再度重い腰を上げるなど面倒だから、使えるかどうかを見極める為だ」
「あぁ・・・そういやお前そういうヤツだったよな・・・」
だが返されたあまりにらしい言葉に思わずルークは脱力した、ただの正義感だけで動くような男でないと再確認したために。
「まぁその必要ももう無いようだからな。俺は適当に飲みに行く、お前も適当に過ごしておくんだな」
「あ・・・行っちまったよ・・・まぁいいや、俺も部屋に行くか・・・」
その上さっさと場から離れるマイペースぶりにルークは唖然としつつも、戻るかと自身も足を運んだ・・・















・・・そして翌日、再び謁見の間にルーク達及びイオンが集められた。









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