時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

「・・・・・・一つ、確認させてください」
「・・・なんだ導師?」
・・・長い沈黙に包まれていた謁見の間。そこにようやくイオンは声を発して沈黙を破り、ピオニーは何かと問う。
「・・・陛下は戦争は望まれていないのですよね?これより後には・・・」
「勿論だ、それは約束しよう」
「そうですか・・・」
「・・・導師、一つ言っておこう。戦争にならないというならそちらに付くというような考え方は止めろ。そのつもりではないと言うのは貴殿の言い分になるだろうが、端から聞く分に自分の考え方に近い物にすりよって甘える以外の何物にしか見えん」
「っ!・・・それは・・・」
それで出てきたのは戦争への意志を確認する力ない言葉でピオニーがないと断言したことでイオンは安心しかけるが、すかさずその行動から甘えに見える行動の非を突き付けられまた力なく視線を落とす・・・その行動がピオニーの言葉を肯定していた、分かりやすい平和への道を歩もうとするマルクト側へと寄りかかった選択をするつもりだったということを。
「・・・導師。この場はお開きにするぞ」
「・・・えっ?それは、どういう意味で・・・」
「心配はいらん。今すぐに結論を導き出させるのにはまだキツい物があると俺が思ったからだ。明日になれば再度貴殿を呼ぶ、その時に答えを聞かせてもらう・・・導師として、どのような結論を出すかをな」
「・・・っ!」
そんな姿に場を終わらせると言い出したピオニーにどういったつもりかと視線を向けるイオンだが、時間を取るから考えろと暗に言っているかのような力のこもった視線と声を向けられたまらず息を呑む。
「・・・とりあえずもう今日は導師だけでなくジェイド達もここから出てくれ。あぁ、導師も宮殿内から出ないなら自由にしてくれて構わん。俺は首脳会談に向け手紙を出すなりなどの準備をする、話は明日だ」
「・・・わかりました」
更にこれ以降の話は明日までしないと準備を盾に暗に拒否を示す形を取るような事を言うピオニーに、イオンはこれ以上何も言えずにただ暗く頷いた。















・・・そして謁見の間から出たイオンを含むルーク達は、各々が割り当てられた部屋へと行くことになった。

だがイオンは今まで軟禁同然にグランコクマにいたことに加え、ピオニーから言われた事を受けて暗い面持ちを浮かべながら部屋には入らず、謁見の間を出た後フラフラと歩き回ってからあまり人の来る気配のない廊下の片隅に辿り着いていた。



(・・・どうすればいいんでしょう、僕は・・・)
・・・自身の中にぐるぐると渦巻く考えにつぐ考え、それも自身にとって難解な問題に対して要点を得られない物ばかり。そんな思考の渦に陥っていたイオンは、下を向いて泣きそうな顔で唇を引き締める。
「・・・こんなとこになんでいんだよ、お前」
「え・・・貴方は、ルーク・・・」
そんなイオンの前に現れたのはルークで、ふと前を向いたそこにあったのは苦い物を噛んだような顔。
「えっと・・・僕に、何か・・・?」
「・・・あー、んな大した用じゃねーよ。お前がピオニー陛下と話す姿見てて言いたいことがあったから来ただけだ」
「僕に、言いたいこと・・・?」
いきなりの登場に戸惑いながらもどうしたのか聞くイオンだが、ルークが頭をかきながら言いにくそうに言いたいことがあると言ったことに何事かと首を傾げる。







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