時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

「今のところ貴殿はこちらで保護していることになっているが、貴殿は元々ダアトの導師だ。それが今どのような物になっているかはこちらでは察しようがないがな・・・だからこそ重要になる、貴殿がダアトでどのように動く心持ちでいくのかがな」
「それは、どうして・・・?」
「大詠師モースの死の事実と共にこちらはナタリア殿下の入れ換えの事実を明かすが、そうなれば当然ダアトは揺るぐことは避けられん。だが正直な所で言えば今の貴殿ではダアトを無事にまとめあげられるとは思えないのが実情だ」
「っ・・・!」
そんな比古清十郎の様子に気をかける姿を見せず真剣にピオニーは言葉を続けるが、あまり話を理解をしていなかった様子から自身への期待の薄さを言葉を選ばず聞かされイオンの表情が傷付いたように歪む。
「だからどういう心持ちで挑むのかを聞きたいんだ。我らのプラネットストームを止め預言を詠むのを止めるという思想に同調して動くか、はたまた別のやり方を選んで動くかをな」
「それは、どちらかを選ばねばならないんですか・・・?」
「むしろ今選ばねばならないことだ。こちらとしては同調していただけるというならありがたいことだと思っているが、向こうも少なからずは反発してくることも予想がつく。何せプラネットストームを止めれば預言が詠めなくなるのは避けられん事態になるのだ、その時を避けようとする為の策を弄してくる可能性は否定出来ん・・・そして今なら貴殿も分かるだろう、第七譜石を詠んだ貴殿ならプラネットストームを止めなかった場合の危険性を」
「っ!・・・それは・・・」
その上で選択を突き付けるピオニーにイオンは曇った表情を浮かべるが、その言葉に続けて放った第七譜石の単語に一気に愕然とした物へと変わった。
「おそらく十数年はジェイド達の取った処置の効果で障気は出てはこんだろう。だがだからと言ってそれまで障気が出ないならいいとそれで後回しにすることには繋がらん、障気を出さんようにするにはプラネットストームを止めることは不可欠だ。でなければ預言に詠まれたよう障気によって、この世界は滅びるだろう。事は早目に済ませるべきだ、預言や音素の恩恵に頼らない生活を作るためにもな」
「・・・だからそれを選べと言うんですね。貴殿方と共にプラネットストームを止めるか、別の道を選ぶために止めないかを」
「そういう事になるが・・・今の貴殿の立場から言えば、そう単純な事ではない。おそらくあちらの意見と貴殿の意見が一致したなら貴殿を喜んで迎えはするだろうが、反対の意見になったなら貴殿の立場は相当にまずいものになる。そうなれば貴殿が導師として断固とした態度を持たねば、その会談の結果次第で貴殿を排除にかかりかねん・・・だからそれも含めて考えて欲しいのだ、どのような道を取るべきかをな」
「っ・・・!」
更にピオニーは以降の事を考えるならプラネットストームを止めることが必須と告げ、イオンは沈痛な面持ちでうなだれ真剣に考え込む。そこにここでピオニーはその選択に行動次第で残酷な結末になりかねないと選択をしてほしいと言い、イオンはビクッと反応し何も言わなくなった・・・その下げられた顔の表情は見えないが、おそらく苦悩に満ちた物になっているだろう。



・・・あえてここでピオニーは厳しい言葉を投げ掛けた。それは何故かと言えばイオンに現実を受け入れてもらうと同時に、この質問を試金石としているからだ。イオンが首脳会議及び以降で使い物になるかを。

周りにいる比古清十郎達が何も言わないのも、その事がわかっているからである。



・・・今この場で求められているのはイオンの決定。そしてその答えを待つため、場から一切の雑音が消え去っていた。








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