時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

「・・・そういうことなら導師に話を通そう。導師を呼んできてくれ」
「はっ!」
そしてピオニーは近くにいた兵士にイオンを呼んでこいと声をかければ、その兵士は敬礼を返しその場を退出していく。
「よろしいのですか?」
「まぁそろそろ導師に話を通さねばならない時期に差し掛かっていたからな。それに結果次第ではこちらも別の手を考える、そのきっかけとしてはちょうどいい」
「そうですか・・・」
その姿にジェイドがそれでいいのかと問い掛けるが、皇帝として先の事を考えてとピオニーが返したことでそれ以上は何も言えなくなる・・・ピオニーの言ったことは妥当とわかる物だった為に。
「・・・あの、私達もここにいていいんですか?」
「あぁ、むしろいてもらった方がちょうどいい。当事者が揃っていた方が導師にも話を理解してもらいやすくなるからな」
「・・・はい」
そこに今この場に自分達がいていいのかと疑問の声を上げるセカンに、ピオニーは迷いなく是と理由をつけて返したことで何も言えずに頷くに留まる・・・イオンを納得させるにはちゃんとわかりやすい道理を通す必要がある、そう分かっていたために。



・・・そしてそこから黙って待つ一同のいる謁見の間にイオンが兵士に引き連れられ、ピオニーの横に立つ。どこか不安に満ちた表情のイオンが。
「久しぶりだな、導師」
「・・・お久しぶりです、ピオニー陛下。それに・・・カクノシンさん達も・・・」
そんな姿に普通に声をかけるピオニーに対し、イオンは対照的に探るよう辺りを見渡しながら比古清十郎達にも挨拶をする。
「まぁまずはここに貴殿を呼んだわけを話そう、ダアトに関わる事でもあるのだからな」
「・・・ダアトに関わる事・・・?」
明らかに意気が上がらない姿に遠慮することなく話をとっとと進めるピオニーに、イオンは少し怖じけたように表情を歪める。だがそんなこと関係なくピオニーは話を始めた、今までの経緯とこれから首脳の会談を計画をしていることを・・・















「・・・という訳だ」
「・・・そんな・・・まさかそんな事になっていたなんて・・・」
・・・そしてピオニーから話を聞き終わったイオンは、愕然とした表情で話を信じきれないといった様子を浮かべる。
「信じられないとは思うが、全て事実だ。アクゼリュス周辺の土地は魔界に落ちたとジェイド達にセントビナーからも報告は入っているし、ナタリア殿下の入れ換えの事実・・・そしてローレライの事もだ。そしてパッセージリングの問題に加えて第七音素に起因する障気の問題、これは看過していい問題じゃない・・・それでキムラスカとダアトとマルクトの間で首脳会談を開くべきと思い、貴殿を呼んだんだ」
「・・・そう言うことだったんですね・・・」
それで今話した内容を簡潔にまとめて話すピオニーに、イオンもようやく話を受け入れたようで重く首を縦に振る。
「それでだが導師・・・貴殿もわかるだろう、このままではオールドラントの危機だと。だがここで一つ懸念事項がある・・・それが貴殿がどういった立場というより、心持ちで我らの主催する会談に挑むのかということだ」
「え・・・僕が?」
そんな様子に本題を話さんと重く口を開くピオニーだが、何故自分と本気で首を傾げるイオンに比古清十郎の眉間にシワが少し寄った。







6/36ページ
スキ