時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話
「それなんだが・・・現状で導師をダアトの代表として出席させるという案自体はありだと俺は思っている。だが現状で導師が危険な事に変わりはない。導師の命もだが、導師の発言が予測出来ないことがな・・・」
「・・・一理ありますね。おそらくイオン様は外郭大地降下の件と平和に繋がることに関してはこちらになびいてくれるでしょうが、プラネットストームに関してはどう反応するかわかりません。その上でダアト側の反応ではどう転ぶか・・・その行動次第で場が動く可能性は否定出来ませんね、良くも悪くも・・・」
そしてピオニーから出てきたのは一抹というにはあまりにも大きい不安を匂わせる声に、ジェイドも分かりやすい所がある反面としてそれがネックにもなると表情を苦く変える。
・・・イオンの行動原理は直接的に例えて言うなら幼い子供の正義感に尽きるのは否定出来ない。
そしてその正義感は子供であるが故に、どう転ぶかはいかにそれが高尚で綺麗な物であるかを好む傾向にある・・・だがここで一つ問題なのはモースをマルクトが殺したという事実を明かした、という事だ。
必要にかられてマルクトが行動を起こしたのはイオンもピオニーから話を受けたのがあって理解はしているだろう・・・だが理解はしても心から納得出来ているかと言われれば話は別になる。そんな時にダアトがイオンの心を揺り動かせる程の言葉をかけてきたらどうなるか・・・最悪元々の所属もあるし導師としての責任感を子供なりに持っているからこそダアトになびきかねないことも有り得ると思うから、ピオニー達は悩んでいるのだ。イオンをどうするかということを・・・
「・・・ちょっといいですか、陛下?」
「・・・何かな、ルーク殿?」
そんな空気の重くなる場にルークは控え目ながらも手を上げれば、ピオニーは覗きこむように先を促す。
「あの、イオンにその首脳の会談をすることって伝えてないんですか?」
「あぁ・・・そう言えば言っていなかったな。導師にはこの事はまだ言っていない。外の情報をこまめに伝えていたら色々と口出しをしかねないと考えていたからな。だからまだ導師はこの話があったことは知ってはいない」
「そうですか・・・」
それでルークが聞いたのは今の話をイオンが知っているのかというもので、ピオニーも忘れてたと思い出したように言ってないと答えるがその返答にルークはうつむき考え込む様子を見せる。
「・・・どうされた、ルーク殿?」
「・・・あの俺、いや私は一度イオンにこの事を話すべきだと思います」
「ほう・・・その根拠は?」
その姿にピオニーがどうしたと問えばルークが真剣な表情で前を向き慌てて言葉をただしながらもこの事を話すべきと言ったことに、興味深そうにその根拠を問う。
「この事で協力してもらうにしてもなんにしても、一度話をしないとイオンもどうも出来ないと思うんです。それに多分このままイオンだけ蚊帳の外で事を進めてったら、これからのイオンはダアトに帰ったとしてもずっと微妙な気持ちを抱いたままで生きることになるような・・・そんな気が、するんです・・・」
「・・・それは貴殿の感じたことか?」
「はい・・・イオンには自分で考える機会が必要だと思うんです、自分で自分のこれからを考える時間が。じゃないとずっとイオンは変わんないままなんじゃないかって・・・前の俺のように・・・」
「・・・成程」
・・・言葉を紡げば紡ぐほどに勢いの無くなる姿。だがそのどうにか感じた事をちゃんと伝えんとする不器用な姿勢に、皇帝の納得は得られた。
ルークの自身の事までもを引き合いに出したその言葉に、ピオニーは重く納得して一つ頷く。
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「・・・一理ありますね。おそらくイオン様は外郭大地降下の件と平和に繋がることに関してはこちらになびいてくれるでしょうが、プラネットストームに関してはどう反応するかわかりません。その上でダアト側の反応ではどう転ぶか・・・その行動次第で場が動く可能性は否定出来ませんね、良くも悪くも・・・」
そしてピオニーから出てきたのは一抹というにはあまりにも大きい不安を匂わせる声に、ジェイドも分かりやすい所がある反面としてそれがネックにもなると表情を苦く変える。
・・・イオンの行動原理は直接的に例えて言うなら幼い子供の正義感に尽きるのは否定出来ない。
そしてその正義感は子供であるが故に、どう転ぶかはいかにそれが高尚で綺麗な物であるかを好む傾向にある・・・だがここで一つ問題なのはモースをマルクトが殺したという事実を明かした、という事だ。
必要にかられてマルクトが行動を起こしたのはイオンもピオニーから話を受けたのがあって理解はしているだろう・・・だが理解はしても心から納得出来ているかと言われれば話は別になる。そんな時にダアトがイオンの心を揺り動かせる程の言葉をかけてきたらどうなるか・・・最悪元々の所属もあるし導師としての責任感を子供なりに持っているからこそダアトになびきかねないことも有り得ると思うから、ピオニー達は悩んでいるのだ。イオンをどうするかということを・・・
「・・・ちょっといいですか、陛下?」
「・・・何かな、ルーク殿?」
そんな空気の重くなる場にルークは控え目ながらも手を上げれば、ピオニーは覗きこむように先を促す。
「あの、イオンにその首脳の会談をすることって伝えてないんですか?」
「あぁ・・・そう言えば言っていなかったな。導師にはこの事はまだ言っていない。外の情報をこまめに伝えていたら色々と口出しをしかねないと考えていたからな。だからまだ導師はこの話があったことは知ってはいない」
「そうですか・・・」
それでルークが聞いたのは今の話をイオンが知っているのかというもので、ピオニーも忘れてたと思い出したように言ってないと答えるがその返答にルークはうつむき考え込む様子を見せる。
「・・・どうされた、ルーク殿?」
「・・・あの俺、いや私は一度イオンにこの事を話すべきだと思います」
「ほう・・・その根拠は?」
その姿にピオニーがどうしたと問えばルークが真剣な表情で前を向き慌てて言葉をただしながらもこの事を話すべきと言ったことに、興味深そうにその根拠を問う。
「この事で協力してもらうにしてもなんにしても、一度話をしないとイオンもどうも出来ないと思うんです。それに多分このままイオンだけ蚊帳の外で事を進めてったら、これからのイオンはダアトに帰ったとしてもずっと微妙な気持ちを抱いたままで生きることになるような・・・そんな気が、するんです・・・」
「・・・それは貴殿の感じたことか?」
「はい・・・イオンには自分で考える機会が必要だと思うんです、自分で自分のこれからを考える時間が。じゃないとずっとイオンは変わんないままなんじゃないかって・・・前の俺のように・・・」
「・・・成程」
・・・言葉を紡げば紡ぐほどに勢いの無くなる姿。だがそのどうにか感じた事をちゃんと伝えんとする不器用な姿勢に、皇帝の納得は得られた。
ルークの自身の事までもを引き合いに出したその言葉に、ピオニーは重く納得して一つ頷く。
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