時代と焔の守り手は龍の剣 第二十一話

・・・ヴァンの快い、とまでは行かずとも確かな協力を得られたルーク達。さして邪魔する者もいないため、アルビオールにてセフィロトを順調に回り・・・アブソーブゲートのセフィロトまで辿り着き、残りのセフィロトはアブソーブと対を為して重要なラジエイトゲートのみとなった。

ただここでピオニーより作業が終わる一歩前になったら戻ってこいということになっていたのでその事を報告すべく、グランコクマに戻ることとなった。









「・・・なぁ、ジェイド。今世界ってどうなってると思う?セフィロトに直行してばっかいたからアクゼリュスが落ちた後、マルクトやキムラスカがどういう風になってるのか俺にはわかんねぇんだけど・・・」
「・・・世界ですか・・・」
一路グランコクマに向かってアルビオールが飛ぶ中、不安にかられた表情を浮かべ疑問の声を投げ掛けるルークにジェイドが少し考え込むように間を空ける。
「・・・現状では戦争になる可能性はまずないでしょう。ピオニー陛下からも和平についての書状がバチカルに届けられているでしょうし、こちらの手の内を警戒してインゴベルト陛下達が下手な動きをするとは思えません。目下大丈夫とは思います、とりあえず」
「そうか・・・」
「ですがおそらく今頃陛下はキムラスカと渡りをつける用意をしているのではないかと思われます。アクゼリュスが崩落した今、和平と貴方の無事を公にした上で事を進めておかねばインゴベルト陛下と公爵はともかく他のキムラスカの貴族は納得していただけないでしょうからね。その過程の上でキムラスカにも外郭大地の事に加えて、障気の問題・・・そして、第七音素についてどうするかを決める場を取り持つ為に」
「・・・それでその時に決まるのか、外殻大地の降下に第七音素をどうするかが・・・」
「だと思われます」
それで考えをまとめ丁寧に話を進めていくジェイドにルークも納得して最後は真剣な表情になって、一度は頷くもののジェイドはすぐに眼鏡を手で押さえる。
「ただ・・・一筋縄ではいかないのも想像はつきます。外殻大地の降下に関してはパッセージリングの限界を説けばまだなんとかなるでしょうが、プラネットストームを止めるかどうかはまずすんなりと受け止められはしないでしょう。やはりいきなり音素の恩恵がなくなること、特に預言が詠めなくなるのを順調に受け入れられるはずがありません」
「・・・でもそれをやらなきゃならないんだよな、第七音素が無くなるのを認めてもらうように・・・」
そしてジェイドがいかにそれが難しいことかを暗示させるように言うと、ルークは苦い表情になりながらもそれを受け止めやる気を覗かせる。
「・・・ただもう一つ、ここで問題があります」
「え・・・まだあるのか?」
しかしそこで今までになく声のトーンが落ちたジェイドに、たまらずルークは不安そうな表情を浮かべ何なのかと聞く。
「キムラスカとマルクトの間で話を通してきましたが、世界全体の話になりますので当然ダアトにも話を通さねばなりません・・・その時にはダアトの代表としてイオン様の出席が必要不可欠になりますが、正直あの方がダアトの代表というのに不安を私は感じています。あの方がレプリカのイオン様と知られていること以上に、後々ダアトをうまく統治出来るのかということを・・・」
「あ・・・そういや、今グランコクマにいるんだったなイオン・・・」
その声にイオンが不安要素なのだとダアトを混ぜなければいけない理由を含めつつジェイドが重く答えれば、ルークもその存在を思い出し微妙な表情になる。










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