時代と焔の守り手は龍の剣 第二十話
「別に惜しくない存在と思っていたはずだが、不思議な物だな・・・まさか切り捨てるはずの存在から切り捨てられるとは思っていなかったからなのか、今更になって惜しいと思う気持ちが湧いている・・・」
「切り捨てる立場に自分がいついると錯覚していたのですか?掌中にある物が必ず自分の物であると考えていた貴方にとって意外だったのでしょうが、ルークは何も考えることもない物言わぬ人形などではないのです。例えは悪いですが釣った魚に手抜きのエサで接するような方にいつまでも魚もなつきはしませんよ。実の妹にさえ手抜きで接するような貴方にはね」
「・・・耳が痛いな。確かに私はティアにさえまともに接していなかった。そう思えば私はあまりにも愚かだったのだろう、自分の元から離れる原因を自身で作っていたのにそれを全く見ても考えてもいなかったのだからな・・・」
そしてヴァンはどことなく憂いを帯びた口調で捨てられた事が悔しいと言うと、ジェイドから痛烈にティアまでも例えに使った上で自身のせいと告げられ心底口惜しそうに項垂れた。
「それこそ今更です。そしてもうその失態を取り返すには遅すぎます・・・後悔ならセフィロトを回る間と、それからグランコクマに戻ってその生を終えるまでに存分にしてください」
「・・・そうしよう」
更にジェイドはその頭に追い討ちをかけるよう後悔するようにと言い、ヴァンは何も返せずそのままそうすると返す。
・・・ここで直接的な表現こそされていないが、生を終えるまでにとジェイドが告げたのはグランコクマに戻れば遠からずヴァンが処刑をされることになるからだ。
おそらくイオンに情報が渡ればまず間違いなくヴァンはダアトで裁くから引き渡してほしいなどと言うだろうが、そんな主張に要求はまず通用しない。もし強行すれば導師の事に加え他のダアトの上層部は知らないだろうがナタリアの事実をバラされかねない、ダアトがそのような危険を犯してまで罪人であるヴァンを求めねばならない理由はないのだ。イオンの主張は確実に黙殺され、他の神託の盾もろとも丸ごとマルクトでヴァンが裁かれる事態になるのは確実だ。
・・・そしてそれはもう当人であるヴァンは承知の上だろう、ジェイドもそのつもりで表現をぼかしながらも言ったのだ。グランコクマで終焉を迎えることになると・・・
「・・・この話はこれくらいにしましょう、まだこれから何ヵ所もセフィロトを回らなければいけませんからね・・・すみません、ノエル。次のセフィロトのあるザオ遺跡までお願いします」
「あっ、はい。すぐに向かいます!」
「・・・」
何も出なくなったヴァンから少しの間を空けジェイドがアルビオールをその場に旋回させていたノエルに次の目的地に飛ぶよう指示を出せば、元気よく了承を返しザオ遺跡の方角へ向かい舵を切る。そんな中でルークは複雑そうな顔をして一度ヴァンを見るも、席に座り前を向いた。
・・・人生の岐路はいかなる時にも瞬時に現れる、例え善人であろうとそうでなかろうと
そして岐路が現れた時に気付く
その岐路を選ぶ時が自らの事を改めて知る機会だと言うことを・・・例えそれを望もうと、望まずとも
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「切り捨てる立場に自分がいついると錯覚していたのですか?掌中にある物が必ず自分の物であると考えていた貴方にとって意外だったのでしょうが、ルークは何も考えることもない物言わぬ人形などではないのです。例えは悪いですが釣った魚に手抜きのエサで接するような方にいつまでも魚もなつきはしませんよ。実の妹にさえ手抜きで接するような貴方にはね」
「・・・耳が痛いな。確かに私はティアにさえまともに接していなかった。そう思えば私はあまりにも愚かだったのだろう、自分の元から離れる原因を自身で作っていたのにそれを全く見ても考えてもいなかったのだからな・・・」
そしてヴァンはどことなく憂いを帯びた口調で捨てられた事が悔しいと言うと、ジェイドから痛烈にティアまでも例えに使った上で自身のせいと告げられ心底口惜しそうに項垂れた。
「それこそ今更です。そしてもうその失態を取り返すには遅すぎます・・・後悔ならセフィロトを回る間と、それからグランコクマに戻ってその生を終えるまでに存分にしてください」
「・・・そうしよう」
更にジェイドはその頭に追い討ちをかけるよう後悔するようにと言い、ヴァンは何も返せずそのままそうすると返す。
・・・ここで直接的な表現こそされていないが、生を終えるまでにとジェイドが告げたのはグランコクマに戻れば遠からずヴァンが処刑をされることになるからだ。
おそらくイオンに情報が渡ればまず間違いなくヴァンはダアトで裁くから引き渡してほしいなどと言うだろうが、そんな主張に要求はまず通用しない。もし強行すれば導師の事に加え他のダアトの上層部は知らないだろうがナタリアの事実をバラされかねない、ダアトがそのような危険を犯してまで罪人であるヴァンを求めねばならない理由はないのだ。イオンの主張は確実に黙殺され、他の神託の盾もろとも丸ごとマルクトでヴァンが裁かれる事態になるのは確実だ。
・・・そしてそれはもう当人であるヴァンは承知の上だろう、ジェイドもそのつもりで表現をぼかしながらも言ったのだ。グランコクマで終焉を迎えることになると・・・
「・・・この話はこれくらいにしましょう、まだこれから何ヵ所もセフィロトを回らなければいけませんからね・・・すみません、ノエル。次のセフィロトのあるザオ遺跡までお願いします」
「あっ、はい。すぐに向かいます!」
「・・・」
何も出なくなったヴァンから少しの間を空けジェイドがアルビオールをその場に旋回させていたノエルに次の目的地に飛ぶよう指示を出せば、元気よく了承を返しザオ遺跡の方角へ向かい舵を切る。そんな中でルークは複雑そうな顔をして一度ヴァンを見るも、席に座り前を向いた。
・・・人生の岐路はいかなる時にも瞬時に現れる、例え善人であろうとそうでなかろうと
そして岐路が現れた時に気付く
その岐路を選ぶ時が自らの事を改めて知る機会だと言うことを・・・例えそれを望もうと、望まずとも
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