時代と焔の守り手は龍の剣 第二十話
「・・・終わりました、これで封呪さえ解除すれば我々でもパッセージリングの操作が出来るようになります。後は各地にあるセフィロトのパッセージリングを回り、最後に行くラジエイトゲートで外郭大地の降下をするように設定していくだけです」
「よし、なら行くか」
そんな中でジェイドが振り返り成功の報告と共に今後の方針を告げていけば、比古清十郎が一つ頷き一同はセフィロトを後にしていく・・・
・・・それからアルビオールに戻り、次の目的地として一番近いザオ遺跡にあるセフィロトに向かわんとその船体を大空高く羽ばたかせたルーク達。だがそこでルーク達は大地に大きすぎる変化を目撃した。
「・・・おい、なんだよあれ・・・もしかしてあれ、アクゼリュスのパッセージリングが崩壊したからあんな風になってるのか・・・!?」
「「「「・・・」」」」
・・・それはルークが何気にアルビオールの窓から下を覗いていた時の事だった。
最初は信じられない物を見るような声、そして次第に恐怖がこもった声・・・アクゼリュス近辺の大地が丸ごと切り取られたかのよう魔界に向かいゆっくり落ちて行く姿に、ルークの声に反応して下を見た一同はその浮世離れした光景に知らず知らず黙りこむ・・・一人を除き。
「・・・お前がパッセージリングを壊していたなら、それこそ文字通り大地は粉々に破砕して魔界に落ちていただろう。今などと比べるべくもなくな」
「・・・師匠・・・」
その一人とはヴァンでうっすら笑みながら自身らの目論見が成功した時の想定を口にし、ルークは青ざめているその顔を必死に奮い立たせて相手に向ける。
「・・・師匠、やっぱり貴方にとって俺は・・・アッシュの為の使い捨ての駒でしかなかったんですか・・・?」
「フ・・・今更何を言っている、元々その為にお前を造ったのだ私は。そしてその認識以外で、お前の存在価値など私には存在していない」
「・・・っ!」
その表情のままルークは言葉を精一杯に絞り出し、聞きたくないはずのことを問い質す。だが全く人としての存在を認めないと余裕の笑みすら浮かべて宣うヴァンに、たまらず傍らで聞いていたセカンの怒りが爆発しかけ身を乗り出しかける。
「・・・そうですか」
「・・・え?」
だが当の本人が納得したような声色で呟いた事で、セカンの動きが止まりルークの方を見る。そこには悲しみを浮かべながらも視線を反らさずヴァンを見据える顔があった。
「・・・ありがとうございました、ヴァン師匠」
「・・・何故いきなり礼を言う?頭でもおかしくなったか?」
「いえ、俺の気は確かです・・・ただ、言いたかったんです。今まで偽りの関係でも、俺に師匠としてたくさん色々なことを教えてくれた事の礼を」
そしてその表情のまま丁寧に頭を下げるがそれを奇行と見た疑いの声を向けるヴァンに、ルークは頭を上げてまっすぐに告げる。師に対する礼と。
「・・・もうこの旅が終わったら、多分俺は師匠に会うことはないと思います。本音として言うなら師匠にはずっと俺の師匠として俺として接してほしかった。カクノシンに言われて師匠から学ぶ物は独学で吸収しようとした・・・けど師匠は本当の意味で俺を俺として見ることはない、そう気付きました。俺をアッシュの為の駒と言った事で。だから俺は礼を言ったんです・・・もう貴方を師匠とは見ないし思わないし言わない、最後に弟子としてケジメをつけるためにと・・・!」
「・・・成程、そういう事か」
・・・ルークとしても断腸の想いで言ったのだろう、その声は次第に震えていき最後には完璧に涙声に変わっていた。
言葉にこそしないがルークがヴァンから学んだものは『相容れない者に対する理解の諦めへの決断の必要性』、そう学んだからこその礼だと告げられヴァンは納得の声を上げた。
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「よし、なら行くか」
そんな中でジェイドが振り返り成功の報告と共に今後の方針を告げていけば、比古清十郎が一つ頷き一同はセフィロトを後にしていく・・・
・・・それからアルビオールに戻り、次の目的地として一番近いザオ遺跡にあるセフィロトに向かわんとその船体を大空高く羽ばたかせたルーク達。だがそこでルーク達は大地に大きすぎる変化を目撃した。
「・・・おい、なんだよあれ・・・もしかしてあれ、アクゼリュスのパッセージリングが崩壊したからあんな風になってるのか・・・!?」
「「「「・・・」」」」
・・・それはルークが何気にアルビオールの窓から下を覗いていた時の事だった。
最初は信じられない物を見るような声、そして次第に恐怖がこもった声・・・アクゼリュス近辺の大地が丸ごと切り取られたかのよう魔界に向かいゆっくり落ちて行く姿に、ルークの声に反応して下を見た一同はその浮世離れした光景に知らず知らず黙りこむ・・・一人を除き。
「・・・お前がパッセージリングを壊していたなら、それこそ文字通り大地は粉々に破砕して魔界に落ちていただろう。今などと比べるべくもなくな」
「・・・師匠・・・」
その一人とはヴァンでうっすら笑みながら自身らの目論見が成功した時の想定を口にし、ルークは青ざめているその顔を必死に奮い立たせて相手に向ける。
「・・・師匠、やっぱり貴方にとって俺は・・・アッシュの為の使い捨ての駒でしかなかったんですか・・・?」
「フ・・・今更何を言っている、元々その為にお前を造ったのだ私は。そしてその認識以外で、お前の存在価値など私には存在していない」
「・・・っ!」
その表情のままルークは言葉を精一杯に絞り出し、聞きたくないはずのことを問い質す。だが全く人としての存在を認めないと余裕の笑みすら浮かべて宣うヴァンに、たまらず傍らで聞いていたセカンの怒りが爆発しかけ身を乗り出しかける。
「・・・そうですか」
「・・・え?」
だが当の本人が納得したような声色で呟いた事で、セカンの動きが止まりルークの方を見る。そこには悲しみを浮かべながらも視線を反らさずヴァンを見据える顔があった。
「・・・ありがとうございました、ヴァン師匠」
「・・・何故いきなり礼を言う?頭でもおかしくなったか?」
「いえ、俺の気は確かです・・・ただ、言いたかったんです。今まで偽りの関係でも、俺に師匠としてたくさん色々なことを教えてくれた事の礼を」
そしてその表情のまま丁寧に頭を下げるがそれを奇行と見た疑いの声を向けるヴァンに、ルークは頭を上げてまっすぐに告げる。師に対する礼と。
「・・・もうこの旅が終わったら、多分俺は師匠に会うことはないと思います。本音として言うなら師匠にはずっと俺の師匠として俺として接してほしかった。カクノシンに言われて師匠から学ぶ物は独学で吸収しようとした・・・けど師匠は本当の意味で俺を俺として見ることはない、そう気付きました。俺をアッシュの為の駒と言った事で。だから俺は礼を言ったんです・・・もう貴方を師匠とは見ないし思わないし言わない、最後に弟子としてケジメをつけるためにと・・・!」
「・・・成程、そういう事か」
・・・ルークとしても断腸の想いで言ったのだろう、その声は次第に震えていき最後には完璧に涙声に変わっていた。
言葉にこそしないがルークがヴァンから学んだものは『相容れない者に対する理解の諦めへの決断の必要性』、そう学んだからこその礼だと告げられヴァンは納得の声を上げた。
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