時代と焔の守り手は龍の剣 第二十話

「・・・では任せます、と言いたい所ですが以降に私達が操作できないのは面倒になります。その設定の解除と共に、操作の方法を教えてください」
「あぁわかった。ではこちらに来てくれ、片手で時間はかかるが教えよう」
「はい・・・」
そんな姿にジェイドはすんなりと任せるとは言わず操作を自分達にも出来るようにするよう言えば、ヴァンは頷きつつも操作板の前に立ちジェイドを呼んで操作方法を教え始める。
「・・・どれが本当の師匠の姿なのかな・・・」
「何を言っている、あの姿もヴァンの一部だ。本物も偽物もない、ただお前は一部だけを見てヴァンという人物を判断していたに過ぎん」
「・・・カクノシン」
二人が操作板に集中しだした姿を見てルークはボソリと複雑そうに呟くと、比古清十郎がその姿に声をかける。
「どのような顔を人が隠し持っているか、それは見極めにくい物だ。だから人は相手を知ろうとし、どう接するかを各々決める・・・しかし得られる情報を鵜呑みにすれば当然、それ以外に相手を知れん。お前はヴァンという人物を分かっていなかった、それだけの事だ」
「・・・俺は師匠の事を分かっていなかった、のか・・・」
「俺はそう見ている。そしてお前からすれば言い訳にならんだろうが、人が人の事を全て分かろうなんて言うのは無理だ。その上で人は自分の尺度で見た他人との関係を作っていく、それが過ちか正しいかという事を生きていく中で見定めていくことでだ」
「・・・うん。今の俺にはカクノシンの言葉はすごく難しいって思えるけど、なんとなく言いたいことは分かる気がする」
「なら学べ、自身の記憶にあるヴァンに自身を騙していた後のヴァンに今のヴァン・・・言葉にして教えられずともその姿を見て思い出し人生の教訓とし、師匠からは教えられた物だけを吸収するのではなく自身で師匠から自力で学んで吸収しろ。教えを請う立場にいるのなら自ら進め」
「・・・あぁわかった」
そこから静かに語る比古清十郎のぶっきらぼうながらも師匠としての顔を覗かせながらまともに交わす話にルークは真剣に会話をし、その教えにルークは重い表情ながらも力強くヴァンの方を向いて頷いた。
「・・・師匠、珍しいですね。いつもはこんなに話をしないのに・・・」
「フン・・・ガキが柄にもなくウジウジ悩んでいる姿を見ても気持ちいい物でもないんでな」
「・・・何だかんだ、意外とあんた師匠って感じの事してるんだね。それもルークの事まで気を遣うなんて、本当に意外なくらいに優しいんだよね。普段が普段だからそうは感じないけど・・・」
そんな姿に少し比古清十郎は後ろに距離を取り、その比古清十郎にセカンが意外そうな表情で近付いてきてシンクが前半感心で後半微妙に本音を交えながら近付く。
「俺ほど人のいい師匠は他にはいねぇよ。同時に俺ほど優しい師匠もな」
「・・・それと同時に他とは一線を画するくらい厳しい修行がついてきそうだけどね」
「当然だ。弟子は稽古でしごき倒してその技術を身に付けさせる、そうして技術を覚えてこそ実践で使える物になるからな」
「・・・あんた、相当苦労してきたんだね」
「・・・今思えば、よく死ななかったなと思ってます」
そんなシンクにニヒルな笑みを浮かべ自身を自画自賛する比古清十郎だが、その修行の中身に対してどうかと言われいかにそれが激しいかを暗に示す返答を自信満々に返した事で二人の口元が一気にひきつり笑いに変わり、互いに顔を見合わせた・・・その修行があまりにも厳しいという事を互いに想像してしまったために。








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