時代と焔の守り手は龍の剣 第二十話

「ローレライ、だと・・・本当に実在していたというのか・・・!?」
「えぇ、少し前に図らずも接触出来たことに我々も驚きました。今は我々に協力していただいています・・・では動かないでください、貴方の体内から障気を引き取っていただきます」
『・・・ふむ』
‘カァッ!’
「っ!・・・体から障気が、消えた・・・!」
その姿に信じられないと声を上げるヴァンにジェイドが端的に説明しつつ動かないようにと声をかけローレライがそっと寄り添うように動き発光すれば、光が収まった時にヴァンは自身の体を見て障気が無くなったことに目を瞬かせる。
「引き取った障気はどうするのですか?」
『心配はいらん、この通り・・・障気のみを分離させることが出来る、後は害がないように地核の方に送ればそれで終いだ』
「・・・成程」
そんなヴァンを傍らにジェイドが引き取った障気の事を聞くとローレライは自身の体から紫色の障気のみを取り出して分離させて下に移動させ、その姿が見えなくなったところでジェイドは納得する。
「・・・お前達、牢の前ではローレライの存在を言わなかったが、まさかその理由は・・・」
「えぇ、見極めるためですよ。ティアが使えるかどうか、見極める為にね」
だが今起こった現象にヴァンはローレライの事を黙っていた理由を察し、ジェイドは素直にその答えを平然と返す。試していたと。
「言っておきますが今更苦情は受け付けませんよ。こちらはティアが改心しているかを確かめ解放するかを決める為にあの場を用意したので、ローレライの事は言わずにいたんです。おそらくローレライの事を知ったなら自身の立場を挽回するため、嬉々としてこの役目を受けていたでしょうからね」
「だからあえて何も言わずか・・・心配せずとも私はもうティアの処分に対して不満など言わん。言える立場でもないし、言ったら言ったでティアの勘違いを引き起こすだけだ・・・心苦しい事ではあるがな」
更に続けてジェイドが文句も抗議も受け入れないと言えば、ヴァンはティアの事はもう諦めがついていたと言わんばかりに首を横に振る。
「それは何よりです・・・では本題に戻ってパッセージリングの操作に戻りましょう。さて・・・」
「・・・その操作は私がやろう。というよりは私以外には出来ないように設定されている、私以外には操作は出来ないぞ」
「何?・・・まさかアブソーブとラジエイトのゲートに先に行って、もう操作をしていたというのかお前は?」
「その通りだ」
納得したことに気持ちを切り替えパッセージリングの操作に取り掛かろうとジェイドが言うが、自分がやると言い出したヴァンに比古清十郎が取ったであろう行動の確認を取れば肯定が返ってきた。
「色々調べていく中で二つのゲートはダアト式封呪の扉がないことが分かったのでな。操作板の前に立った時に自動的にユリア式封呪が解けたので念のために私以外には他の者が操作出来ないように設定しただけだ」
「成程・・・ですがいいのですか?我々に自ら協力するような事をして」
「・・・構わん。ここまで来てしまえば最早計画など達成出来んだろうし、自身の愚かさにティアを裁いてくれる礼だ」
それで簡潔にそうするに至った経緯を説明したヴァンに納得はするが敵に自ら協力することに納得出来ないというジェイドに、ヴァンは諦めを滲ませた柔らかい笑みを浮かべた。











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