時代と焔の守り手は龍の剣 第二十話

「あんた一体何を思って自分からドツボにはまりにきたの?別に僕がどうのこうのなんて、あんたには別に関係ないでしょ」
「・・・お前がレプリカ達との会話の様子を見て、前と変わったと思ったのでな。どういうことかと聞こうと思っただけだ」
「結果それで凹んでちゃ意味がないよね、それで今自分の愚かさ身に染みてんだし」
「まぁ変わらずにいたからこそ周りとズレている事を理解してないまま、生きてきたんでしょうけどね」
「死霊使い・・・」
そこに更なる毒舌で攻めるシンクになんとか言葉を返すヴァンだったが、その返事にすら鼻で笑うような声で返し更にジェイドまで加わった事に力なくそちらを向く。
「結局の所自分の中の世界を守りたかっただけなんですよ、貴方は。自分が中心であって自分の心地いいものだけを認め、見下すものはその価値を全く認めようとすらしない・・・そのようなことをしていたから結果として都合の悪い事実に気付けず、そして気付こうとすることもなかった。言ってはなんですが貴方も結局は大詠師と同じような事をしていたんですよ、私の私見ですがね」
「・・・モースと同じ・・・フフフ、捕らえられる前の私だったら是非もなく否定していであろうが、不思議なものだな。今は自然と受け入れられる、嫌っていたものと同じと言われる事でもな」
「・・・師匠・・・」
いかにその世界が壮大に自己中心的なのか。ジェイドはその心中を自身なりにモースと似ていると加えて評した事にヴァンはまた自嘲気味に笑んで受け入れるような声を上げ、ルークはその姿に複雑そうに小さな声で呟く。
‘フッ’
「えっ、なんだ急に道が・・・」
「・・・なんだこの妙な空気は」
「あっ、師匠・・・」
そんな時に待機していた場所の目の前の土壁がいきなり消えて先に続く道が現れた事でルークが軽く驚く中、ミュウを引き連れ比古清十郎が訝しげな表情で戻ってきてセカンがそちらに振り向く。
「まぁいい、とっとと先に行くぞ。グダグダ時間を使う気はない、とっとと終わらせて次のセフィロトに行かねばならんからな」
「・・・はい、では行きましょう」
しかし空気を気にすることなく行くぞとさっさと足を運ぶ比古清十郎に一同スッキリとしない表情の中、代表してジェイドが了承を返しその後を付いていく。
「・・・ふん」
‘パキイィィン’
「・・・話には聞いていたが本当にダアト式封呪の扉を開けるとは、導師を連れてこなかったのも納得だな」
それでダアト式封呪の扉の前に立ちおもむろに刀を抜き刀を扉に当て比古清十郎が念じるとすぐさま甲高い音と共に扉は消えてなくなり、ヴァンはその光景に感心した声を上げる。



・・・ヴァンとて元々セフィロトを周りパッセージリングを操作しようとしていた身だ、その解除にダアト式譜術を使えるイオンが必要なのは重々承知していた。故にこの旅にイオンを連れていかないのは何故だと親切心ではなく単なる疑問で聞いたヴァンだったが、扉を開ける方法は別にあるとだけ聞かされていた為に実際に目の前で開けられ素直に感心したのだ。



・・・そんな事がありつつも先に進んだ比古清十郎達。パッセージリング内にある仕掛けに多少時間は使ったもののその仕掛けも無事に解き、パッセージリングの前に立った。
「さて謡将、ここに立っていただいてよろしいですか?」
「・・・あぁ・・・・・・うっ・・・!」
「・・・大丈夫ですか?」
「・・・あぁ心配はいらん、多少体がキツくはあるがまだ死ぬ程の辛さではない」
それで制御板の横で前に立つよう指示をするジェイドにすんなりヴァンも受け入れ制御板の前に立つと、少しの間を空けヴァンが苦悶の声を小さく上げたことでジェイドが気を使った声を向けるも気にしないようにと返してくる。
「無理をしてもらっても困りますからね。予想はしていましたが、やはり貴方の力が必要のようです。出てきてもらえますか、ローレライ」
『心得た』
「何・・・っ!?」
ジェイドはその返答に予定していた通りとローレライを呼び出すが、事前にその事を聞かされていないヴァンは信じていない様子だったがルークの持っていた鍵からいきなりその姿が現れたことに驚愕に目を見開いた。






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