時代と焔の守り手は龍の剣 第二十話

「・・・では行きましょう。ただ一応貴方は罪人として連行していますから、私が隣に座らせていただきますよ」
「あぁ、わかった」
「「・・・」」
ティアの事についてもう話すことはない。そうなったところでジェイドが出発を口にしつつ席を指定したことにヴァンも了承し一番後ろの席への移動を始め、その光景をルークとセカンは複雑そうな表情で眺めていた。















・・・それからは何も目立った会話を繰り広げられる事もなくアルビオールは飛び立ち、まずはと一番行きやすいセフィロトにということでマルクトの中にあるシュレーの丘のパッセージリングに向かう事になった。



・・・そして大して時間をかけずに比古清十郎の指示の下、シュレーの丘のセフィロトへと辿り着いた。



「・・・ここが、セフィロト?なんか見た目何もないただの丘にしか見えねーんだけど・・・」
「譜術による仕掛けで入口は隠されている、その仕掛けを解かねば入口は見えんらしいが・・・大方の仕組みは分かっている。手間だが俺がやった方が早い、お前達はそこで待ってろ・・・行くぞ、ミュウ」
「はいですの!」
だが着いたその場にめぼしい目印らしきものが見えずルークが訳が分からないと言えば、比古清十郎が律儀に隠されていると説明した上で自身から仕掛けを解きに行くと積極性を見せミュウを呼んで先に行き、ミュウは嬉しそうにその後を跳び跳ねて付いていく。
「・・・なんか今でもすげぇ違和感感じるんだけど、アイツがミュウを邪険に扱わないっての」
「多分ミュウがちゃんと言うこと聞いて変に騒がしくしないからだと思います。あれでいて師匠、ちゃんと言うこと聞く相手は好きですし」
「・・・その分、言うこと聞かないヤツは嫌いって事か。わかりやすいね」
その姿にルークは改めてその光景の違和感に信じられないと疑いで目を細める中、ミュウの黙るべきは黙れと言われ忠実にそれを守る姿勢にあるとセカンが答えれば後ろにいたシンクは呆れたような声を上げる。
「・・・随分と仲良くしているようだな、シンク」
「・・・何?何か用、ヴァン?」
そんな光景を静かにジェイドの隣で見ていたヴァンが声を上げたことにシンクが振り返り、ルークとセカンは複雑そうに二人のやり取りに視線を向ける。
「ディストは寝返っても、お前は寝返らない・・・私はそう踏んでいたのだがな」
「は?あんた何言ってんの?そもそも僕とあんたって忠誠とか信頼みたいなそんなもんで繋がってた訳じゃないだろ。それを知ってて僕を使ってたくせに、あんたの思惑を外れたなら寝返りっておかしくない?」
「・・・フッ、そうだったな」
シンクは寝返らない、そう信頼を寄せていたというようにヴァンは言うが当の本人から心外だと言わんばかりに吐き捨てられ自嘲気味に笑みを見せる。
「前から思ってたんだけどさ、あんた自分に自信を持ちすぎだったんだよ。自分のやることは間違ってはいない、例え人から見て間違いであろうことでも押し通すって考えてたんだろうけどさ・・・それであんたが大事にしてた妹があんたのせいで誤ってちゃ、世話ないよね。盲目的に愛した結果、取り返しのつかない程の愚者に成り下がったんだからさ」
「・・・そう言われては返す言葉もないな」
そこにシンクが自信を持ちすぎたからダメだったのだとティアの事を持ち出された上で言われ、さしものヴァンもこれには笑う事が出来ずに目を閉じる。








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