時代と焔の守り手は龍の剣 第二十話

「昔のお前は言ってくれた、私と一緒にいたいと。その為にお前は神託の盾に入ってきたが、お前はあまりにも他を見ていなかった。教官としてお前につけたリグレットにも最初は目もくれない形でだ。その時は兄の欲目としてかわいい妹のわがままとして私も見ていた・・・だが今その結果お前はどうなった?死霊使いに指摘されたような事を平気でしでかし、自らの発言がいかに周りに影響を与えるか・・・それを考えてもいなかった。お前を放っておいた私に言われたくないのはわかるが、私から見ればお前はリグレットを紹介したあの時から本当の意味で成長などしてはいない。ただ口ばかり多少達者になった子供が癇癪を起こしているのに、それを癇癪と認識せずに大人ぶっているだけの子供だ。お前は」
「!?わ、私の行動がただの癇癪・・・!?」
「そうだ。現に今全て私のせいと声高に言ったことも、すぐに道理の通った言葉で返されただろう・・・感情で全ての物事を通すことが許されるのは子供の特権であり、間違っても大人の特権ではない。自分の中の感情に理屈が正しいからと言って、それが周り全てに当てはまるとは限らない・・・大袈裟な言葉にこそしたが、お前の言葉に行動はまさに子供の癇癪そのものだ。冷静になって物事をわきまえる事も出来ず、自分のしたことの責任から目を背けてただわめきたてるだけのな・・・ただそれでも全て私が悪いと言うなら言うがいい、私に責任があることは否めんからな」
「・・・っ・・・!」
そこから昔語りも含めた上でティアの行動の批判をするヴァンにティアは一時ワナワナとしだしたものの、そのティアの愚かさすらも諭した上で言いたいことは言えと言うヴァンに、ティアは言葉を返そうとしたが何も返せずに口をつぐんだ・・・ここでヴァンの話が活きた、感情で物事を通す事は子供のやることという話が。流石にここで即座に反論していたならティアは心底から愚かということを証明すると考えたのだろう・・・とは言っても自身の悪評に対し反論しようとする辺り、結局心からそれを受け入れる気はないのがわかる。
「・・・だがもうそのようなことを言っても意味はない、おそらくこれが私とお前の最後の対面になるだろう」
「・・・え?何を言っているの、貴方?」
そんな不満を滲ませる姿にヴァンは先程と違い何かを説くのでなく別れを彷彿とさせる言い方をし、ティアは何をと疑問の目を険しく向ける。
「・・・いや、もう何を言っても意味はない。早く出立するぞ、死霊使い」
「えぇ、そうですね。ではティアを牢に入れてください、我々はもう出ます」
「えっ・・・ま、待ってください大佐!せめて、せめて今の言葉の意味を聞かせてください・・・大佐・・・!」
だがもうどこか諦めたようなヴァンが出立をと言えばジェイドもすぐに頷き、周りも心得たと言わんばかりにその場を後にしていく。だが一人残され兵士に連れていかれかけながらティアは訳がわからないとジェイド達を呼び止めるように叫ぶが、誰一人振り返ることすらなくその場を後にしていった・・・












・・・そしてグランコクマを出てアルビオールに入ったルーク達。
「・・・どうでしたか、お気分は?」
「・・・大体想像してはいたが、あそこまでとは正直思っていなかった。せめてもう少し接し方を考えていればよかったと心底から思っているところだ」
そこでジェイドが気分を尋ねれば、本当に凹んだという空気を浮かべヴァンは疲れぎみに目をつぶる。










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