時代と焔の守り手は龍の剣 第二十話

「・・・それで貴殿方に協力をしてもらおうとしに来た訳ですが、流石にそのような事になるのに強制と言うのは少しこちらとしても憚られる物があります。ですので自ら立候補してくれるというのであればありがたいのですが、いかがですか?」
「・・・っ!」
だがそんな内心などおくびも見せず配慮をしていると言った上で立候補するかどうかを聞けば、ティアは案の定何も言えず視線を背ける。
「・・・なら私がお前達と共に付いていこう」
「・・・えっ?」
「よろしいのですか?」
そこにヴァンがそっと目を見開き自分がと言ったことにティアが何をと言った視線を向け、ジェイドは再確認を取る。
「いいも何も私達の内のどちらかを連れていかねばならんのだろう。ならば私が行くと言った方が早く済むと思ったからそう言っただけだ」
「・・・成程、では決まりですね。では早速行きますので付いてきてもらいます・・・用は済んだ、再びティア=グランツを収監せよ」
「っ!・・・まっ、待ってください大佐・・・!」
「・・・なんですか、一体?」
それで簡潔に早く事を済ませる為と割り切った声を向けられ、ジェイドは即決でヴァンと行くと決めティアを再び牢に入れるよう言う・・・だがその命は焦った表情を向けるティアの叫びにより、止められる。
「わ、私をここから出してくれないんですか・・・?」
「・・・話を聞いていなかったんですか?我々はユリアの血族がどちらか付いてきていただければそれでいいんです。それとも貴女も致死量になり得る障気を引き受けるつもりで出たいとおっしゃっているのですか?」
「そ、それは・・・」
明らかに気だるげに視線を送るジェイドに対しティアは情けを求めるような声を向けるが、障気を引き受ける気がないなら牢から出す気はないと情け容赦なく突き放す答えを返され視線をさ迷わせる。
「・・・何を今更言っているのでしょうね、貴女は。そもそも貴女はモースにその存在を見放されるほどの事をした、それは痛いほど理解しているはずです。このグランコクマの牢にいる間に。なのにそれを考えないままただ助けを求めようとするのは、都合のいいことだとは思わなかったんですか?特に貴女が何もしてない時ならともかく、取ってきた行動を今も尚振り返ることの出来ていないと自ら証明した貴女を助ける気など起きるはずありません」
「っ・・・!」
・・・まるで成長していない、いや成長していないなどとは生温く思考を停止さえしていたように思える。そんな愚かな姿に心底から馬鹿を見る目を向けて罵倒の言葉を吐くジェイドに、ティアは最大限の侮辱に何も言えずに口をつぐむ。
「・・・おい、阿呆兄。この阿呆妹がこれほどの阿呆になったのは貴様にもその責任があるということ、分からんとは言わせんぞ」
「・・・あぁ、わかっている。認めたくないことではあるがな・・・」
「・・・兄さん・・・っ!?」
そんな姿にイライラした様子でたまらずヴァンに対し責任があると言い出した比古清十郎に、ヴァンもどこか観念したような声を絞り出す。だがそう言われた当の本人はまるで裏切り者を見るかのような目で、ヴァンを凝視した。








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