時代と焔の守り手は龍の剣 第二十話

・・・謁見の間より軍部内にある牢屋の場に向かったルーク達。
『・・・そなたらはグランツ兄妹に協力を願うといったが、どちらも連れていくつもりでいるか?』
「どうしたんですか、ローレライ?」
それで牢屋の前に来たルーク達だが、唐突にローレライよりかけられた声に一同は足を止める。
『いや、ユリア式封呪を解除する折りに少し問題がある。それは解除の時にパッセージリングの特性上、パッセージリング内に溜まった障気も少なからず引き取ってしまうのだ』
「そうなのですか?」
『そもそもパッセージリングはプラネットストームより出ている第七音素が燃料に使われていて、その中には障気も含まれている。そしてユリア式封呪を解除するにはユリアの血をパッセージリングの操作板の前で認識させる必要があるのだが、そこで自動的に第七音素による血の認識がされるわけだが障気を含んだ第七音素に晒されれば肉体に障気が残ることになる。人間なら数度解除すれば死に至る程に大きなダメージを受けるくらいにな』
「成程・・・その危険があるからどちらも連れていくかを聞いたのですね?」
『あぁ』
そこでローレライが明かしたのはユリア式封呪を解除した時のユリアの血族への障気というリスク。その事を聞かされジェイドは言いたいことを理解し、考え込むよう頭に手を当てる。
「しかし、困りましたね・・・そうとなれば出来る限りリスクを避ける為にも二人とも連れてはいきたい。ですが二人をともに、と言うのは出来れば避けたいのが私の本音です。まだ謡将はともかくとしても、ティアの方は色々とうるさく言いかねないです」
「・・・確かに比較をして連れていくならどちらかと言えば断然、兄の方に軍配が上がるな」
その考えから出てきたのは二人を一緒には連れていきたくないという物で、比古清十郎もその考えに同意する。
「その上ティアはその役目をやってもらおうとした所で生け贄みたいな役割は嫌がって否定しそうですし、謡将が絡むなら一層拒否反応を示すでしょうからね。進んでやってもらうようにするには伺うように彼女の気分を上げて英雄扱いをしなければいけないでしょう。それもかなり寒い演技を要求される形で」
「言っておくが頼まれても俺はやらんぞ、そんなこと。あの阿呆の機嫌取りなどな」
「・・・俺も無理かな。つっても俺は演技とか出来そうにないし、向こうから何かと無意味に俺につっかかってくるだろうしな。機嫌悪くさせるなっつーんなら、俺はいるだけで無理になるぞ。まず間違いなく」
「・・・ですよね」
それで尚問題視されるティアを協力させるにはいかに自分達がへりくだった態度を取れるかが重要になると言うが、即座に比古清十郎とルークかららしいと言えばらしい言い方で無理と返されジェイドもすぐに納得する。
『・・・そういうことならヴァンのみを連れていく方に話が行くだろう。だが経緯によればヴァンは腕を無くしているのだろう。その状態ではユリア式封呪の解除に耐えきれるかわからんからな。もし耐えきれるなら我がヴァンの体内に蓄積した障気を取り除く事も出来るが、念のためにティアは連れていく方が我は懸命と考えるが・・・』
「・・・そうなんですよね」
「あの・・・とりあえず話を二人に聞いてからにしたらどうですか?ここで話し合っても二人の意志を確認しないと、実際どうするかって決められませんし・・・」
「・・・そうですね。ここで色々話していても、何も決まりませんからね。そうしましょう」
だがそのティアを連れていかないとの流れに待ったをかけるローレライにジェイドも悩んだ様子を浮かべるが、セカンからまずは会話を交わしてから決めようとフォローを入れられ思い直したよう首を縦に振る・・・余程微妙な位置関係の話題に、ジェイドも相当に参っていたようだ。











2/14ページ
スキ