時代と焔の守り手は龍の剣 第十九話

『・・・話を続けるが、アクゼリュスが崩落したとなればいかに情報統制をしてもいずれその事実は世界に広まるだろう。そうなれば事態の抑制は面倒になるのは容易に想像がつく、何せアクゼリュス周辺の土地が丸々無くなるのだからな。今なら可能性は低いであろうが、故意にアクゼリュスを消滅させたとして再び戦争にキムラスカがこじつけようとする可能性が浮上してくるだろう』
「・・・全く有り得ん事ではないというのがまた、嫌なところだな。そうならないようにするには出来る限り早くこちらが動く必要があるな・・・」
そんな姿にあえてローレライはアクゼリュスが崩落した場合のシミュレーションを口にし、ピオニーはその中身に感傷的な表情を引き締め真剣に考え込む。
「・・・まずはキムラスカに今のオールドラントの現状を伝えた方が良さそうだな。いつアクゼリュスが崩落するかわからない現状でキムラスカに動かれたら面倒だ、事情を理解してもらった方がいい。だがローレライの事まで伝えない方がいいだろうな」
「そうですね。それこそ何をしてくるかわからなくなります。キムラスカにはローレライの事は伝えず、あくまで外殻大地の事実とその危険性を説くくらいでちょうどいいでしょう」
それでまずはとキムラスカへの牽制をかけるべきと言い出すピオニーに、ローレライの事までは言わない方がいいという意見にジェイドも賛同の声を上げる。
「だがそれでバチカルにまたお前達に行ってもらうとなれば、少々時間がかかる・・・そっちは俺達に任せてお前達はセフィロトに回ってくれ、時間が経てば経つほど面倒が増えていく可能性が高いからな」
「了解しました」
『・・・ならばユリアの子孫が必要になる、ユリア式封呪の解除の為にな』
「ユリアの子孫?・・・そうなるとグランツ兄妹のどちらかが必要という事になりますね・・・」
それで無駄なタイムロスを無くすためにバチカルに行かずセフィロトに行けと指示を出すピオニーにジェイドは了承を返すが、そこでローレライがユリアの子孫が必要と言ったことでジェイドはグランツ兄妹の事を思い出しながらも比古清十郎の方を見る。
「・・・思ったのですが、その刀の力でそのユリア式封呪を解除出来ないんですか?ユリアの力ならその刀にそうするための処置を取れると思ったんですが・・・」
「無理だな。そもそもからしてダアト式封呪とユリア式封呪の封印の仕方が違っていて、ユリア式封呪は話によればユリアの血を引く者がいて初めて解けるものらしい。そしてこの刀は見ての通りユリアの血など引いてるはずもない、つまり無理だ」
「成程・・・ではもう一つお聞きしますが、もしこのような状況でなければ貴方はどのようにユリアの血筋に接触しようとしていたのですか?」
「さぁ、どうだろうな。協力してくれるならそれでよし、協力しないとなっていたなら腕の1つや2つは取っていたかもしれん」
「・・・でしょうね・・・」
そして疑問に思ったことを素直に聞いてみたジェイドだが、二回目に返されたあまりにもらしい返しを傲岸不遜にもらって微妙な表情を浮かべる。
「グランツ兄妹が必要だと言うなら連れていっても構わんぞ、そういう理由なら止める理由はない。牢にいる兵士には俺から許可は取ってあると言え。それから、後はお前達の都合のいいように行動してくれ。そして外殻大地降下を直前に控えたという時に一回戻ってきてくれればいい、仕上げはここでどうしたらいいかと協議した上でやりたいからな」
「わかりました。では早速我々は行ってもよろしいですか?」
「あぁ、行ってこい」
「では失礼します」
そんなやり取りの後であえて空気を気にせずここからの流れの指示を出すピオニーに、ジェイドも気を取り直しそうしようと出発を切り出す。そして快い了承と共にジェイド達は礼をして、謁見の間を後にしていった・・・












歴史の歩みに裏も表もない



ただ明るみに出るか出ないかだけ



共に歩む事が決まればその視点は自ずと同じ視点になる・・・



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