時代と焔の守り手は龍の剣 第十九話

・・・そこからルーク達は再びアルビオールに乗り込み、外殻大地の上に飛び立った。そしてその後すぐにグランコクマへと辿り着いた。






「・・・まさかとは思ったがローレライが本当にいた上、ここに連れてくるなどとはな・・・」
『だがそれは紛れもない事実だ。我はこうして目の前にいるだろう』
「・・・そう、なんだがまだ信じきれんな・・・」
・・・事が終わったという事で早々と事情を説明し、通された謁見の間。そこで経緯を説明した後ルークの持っていた鍵から姿を現したローレライに、ピオニーはどういった物かと微妙そうな表情で頭をかく。
「・・・まぁその事は置いておこう。とりあえず今問題になっているのはローレライのスムーズな音譜帯への送り出しと、外殻大地の降下だな。現状でローレライの存在は預言肯定派にとっては希望そのものであり、そこに求められるのは第七譜石を含むこの世界のその先だ。栄光の未来という想像の上での世界、実質は栄光どころか星すら亡くなるような絶望の未来・・・だが誰がそれを信じる?どうやってそれを証明する?例え誰ならぬローレライがそう言ったところでまず信用などするわけがない。そう考えれば下手にローレライが姿を現すのは危険以外の何者でもない」
『そうなるだろうな』
そこで気を取り直し話を進めていくピオニーだがローレライを送り出すとなって苦い顔をするその様子に、自身の事であるのにローレライは他人事のように肯定する。
「・・・この事もまた、後に置いておこう。とりあえず当面の問題は外殻大地の降下を目指した方がいいと思うが・・・それでいいか、ローレライ?」
『あぁ、構わん。重ね重ね言うようだが我の存在により世界が混乱するのは避けたいからな。当面は無理な指示でない限りそちらの指示に従おう。それより外郭大地の降下をとのことだが・・・それは出来る限り早くした方がいいだろう。現状でまだアクゼリュスは落ちてはいないが、いつ崩落してもおかしくない』
「ちょっと待て・・・まさかもうアクゼリュスは手遅れなのか?」
『・・・残念だがな』
それでまた気を取り直し外殻大地の事を切り出し後でいいかと確認をするピオニーにローレライはおおむね了承しつつも、外殻大地降下と出た事もありアクゼリュスの事を上げる。その言い方にピオニーは手遅れかと慎重に問いかければ、重々しくローレライは肯定する。
『おそらく今頃アクゼリュスはルーク達が行った頃と比べ物にならないほど、濃い障気につつまれていることだろう。それこそセフィロトに入れば人体に即座に影響が出かねない程にだ。そしてそれに付随していつパッセージリングが崩壊するかも予想がつかん・・・そう考えれば変に手を出すことは出来ん』
「・・・そうか・・・ならアクゼリュスの件はそれで終わらせよう。最早手が出ない、というならそうする以外にない・・・」
「「「「・・・」」」」
障気と崩壊、ローレライから上げられた二つの意味での危険。そう聞かされたピオニーは苦い表情を浮かべながらアクゼリュスの放置を決め、その様子に他の面々は何も言わずにその光景を黙って見守る・・・皇帝として領地を切り離して世界を取るという悩みに満ちた表情を。








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