時代と焔の守り手は龍の剣 第十九話

「納得してくてたなら何よりだ・・・それで肝心の場所だが、ユリアシティから見て南東に遠く離れた所にあるとのことだ。目的地のレムの塔があるキュビ半島は魔界には他に土地がないから、方角さえ間違えなければすぐに着くだろう。ましてや塔などという目立つ目印があるのだ、空から見れば見つからない理由もない」
「・・・決まりだな。行くか、そのキュビ半島とやらに」
「あぁ・・・行こう」
そんな声に補足を入れるようなピオニーの言葉に、比古清十郎もはっきり行くと決心をつけルークも強く頷く。
「では陛下・・・我々はそのキュビ半島に向かいます」
「あぁ」
そこにジェイドが出立をすると頭を下げて言えばピオニーも頷き、退出していく一同を見送る。皇帝としての力に満ちた目で・・・















・・・謁見の間から出て早々にグランコクマの街も出て、アルビオールに乗り込んだルーク達。再び魔界へと向かう・・・だが既に一回経験をしている分、ルーク達に戸惑いも何もない。再びホドの跡地に着きそこに飛び込んだアルビオールは魔界の上空へ到着し、キュビ半島を目指し飛び回る。



・・・しかし他に目印がないと言う言葉通り、ユリアシティの南東を目指し飛んでいたらすぐにそれとわかるとてつもなく高くて大きな塔・・・レムの塔の姿を程無くして見つけ、アルビオールをキュビ半島の陸地に着陸させた。



「・・・でけぇな、本当にこの塔・・・」
それでアルビオールから降りて少し遠くからレムの塔を首がのけ反る程見上げるルークからは、感心の言葉しか出てこない。
「この塔は外殻大地がうまくいかなかった場合の保険であり、この星から脱出するために宇宙まで届くようにするために高くした物だったりこの塔ごと飛び立つための物という代物という話ですからね。真実がどうであれどちらにせよこの魔界の状態から人類を相当数生き残らせるには、それ相応の大きさが必要になります。未完成とは言えこれくらいの大きさは最低限だと思いますよ」
「・・・ちょっと待て。その言い方だともし外殻大地が駄目だった場合、この塔にその当時の人達って全員入れなかった可能性があったのか?」
「むしろそうとしかならなかったでしょう。この塔で救える命など精々多くて千人程、それもその人数でギリギリというところです。更に言うならこの塔に入れる人間は国の重要な人間だったり科学者と言った地位に必要な人間が主だったところで、大多数の人数はこの魔界の障気に呑まれ命を失っていたでしょう・・・その点、外殻大地計画が成功していてよかったと言えます。そうでなければこの星は今頃、死の星になっていたでしょうからね」
「・・・そうか、そうなんだな・・・」
そこにジェイドがレムの塔の講釈をする中でルークは引っ掛かった所に全人類は入れたのかと聞くと、無理だときっぱり言った上で外殻大地計画の成功がそれを無くしたと返され微妙な表情に変わりながらもレムの塔を見上げていた。
「歴史のもしもになど興味はない、今必要なのはローレライの解放だ。さっさと用意をしろ、いつまでもここにいては体調を崩しかねん」
「・・・あぁわかった」
そこに厳めしくもさっさとしろと先を促す比古清十郎に、ルークは気を引き締め直した表情で顔の位置を戻しローレライの鍵を取り出す。









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