時代と焔の守り手は龍の剣 第三話

「いえ、ラルゴが倒されてあの兵士の人達は他の師団長達を呼びに行くといいました。それで達とつけられたことから、少なくとも六神将はまだ最低でも二人以上はいると思います。だから早くこの場から離れないと兵を引き連れた六神将がいつ来てもおかしくないので、それで・・・」
「成程、増援の可能性を懸念している訳ですか・・・まぁ妥当ですね」
その値踏みする視線に気付いているがセカンは一応は質問にキチンと返し、ジェイドを納得させる。
だが自身の思考をまだちゃんと伝えてないセカンは言葉を続ける、その思考から出た結論が残酷だとわかっていても。
「・・・それでなんですがあまりこういうことを言いたくはありませんけど、もうタルタロスは神託の盾の手に落ちていると見て間違いないと思います。恐らくタルタロス内にいる他の人達も生きていてもそう遠くない時間で・・・なので私は一刻も早く、このタルタロスから出て追っ手が来ない内に遠くに行った方がいいと思います」
「!?」
「ほう・・・」
非情だが今自分達がこの場から生きて帰るには逃走をはかる以外にない、他でまだ戦ってるかもしれないマルクト兵を見捨てて。そんな結論にルークは衝撃を受け、ジェイドはうっすら目を細める。
「それじゃイオン様はどうなるの!?そんなことしたらイオン様、あいつらに捕まっちゃうじゃん!」
その結論に噛み付いてきたのは威勢よくセカンにイオンのことを怒りながら聞くアニス。
「・・・恐らく神託の盾の目的から考えて導師が捕らえられても殺される事はないとは思うけど、導師を彼らの手に渡さないようにするには今のうちに動くしかない。今の様子じゃタルタロスを抑えられて導師を捕らえられたら、六神将はすぐに導師を護衛して更に大勢の神託の盾が文字通り導師を守る盾にでもなったら・・・導師に近付く所じゃない」
「今しかイオン様を助けられる時がないってこと!?まずいじゃん、それって!」
怒るアニスにセカンは考えられる可能性を丁寧に手早く述べ、アニスはその事実にセカンへの怒りを忘れ焦りだす。
「落ち着いてください、アニス。貴女はとりあえず、イオン様を探す為に動いてください。導師が奪われれば私達の立場は相当まずいものになります」
「はっ、はい!すぐに行きます!」
「・・・もしもの時は打ち合わせの場所で」
「はい!」
そんなアニスにジェイドはイオンを探すように命じ、アニスもその命に急いで入口へと走り出す。そしてアニスがジェイドの横を通った瞬間ジェイドが声をかけ、アニスも元気よく返し急いでその場を後にする。
「さて・・・我々も動きましょう」
「・・・動く?」
その様子を見送るとジェイドが動くと口にし、セカンは妙な気持ちになる。



「えぇ、タルタロスを取り戻しに」



「!?」
「はぁ!?」
その妙な気持ちを感じたのは勘違いではなかった、そう確信したジェイドの思考を聞いてセカンも驚いたが、それ以上に驚いたのはルークだった。
「なんでだよ、おっさん!今セカンが言ってただろ、タルタロスはその・・・神託の盾に手に落ちているって!なんでんな時にタルタロスを取り戻すなんて言えんだよ!?」
先程のアニスに負けず劣らず、勢いよくジェイドに噛み付くルーク。ただその必死さは怒りよりもむしろ焦りに近い。察するにルークはセカンの話を聞き、自身の身がどれだけ危ういかを悟って必死になっているのだろう。
(無理はない、と思う。ルークさんは貴族だし、こんな命を失いかねない戦場に身を置いた事なんてあるわけない。まず自分の命が大事なのは当然・・・それに襲われてるのはマルクト所有のタルタロスでルークさんはマルクトの軍人じゃないから、ジェイドさんの意見に従う義理もない・・・だからルークさんはタルタロスを取り戻すなんてしなくてもいいはずなんだけど・・・)
その様子を見ながらセカンはルークの主張は正しい物であると感じている・・・が、それがすんなり行くような気はしないとも感じていた。








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