時代と焔の守り手は龍の剣 第十九話

「でもそれだと僕は死神と違って、少しは信用されてるって事なのかな?死神のことを教えてくれるってのはさ」
「そうなります。ディスト殿と違いマルクト軍に精力的に協力していただいてますからね。全て終わった後変に事態を混乱させるような事をしないと約束するなら、貴方は晴れて放免という形になります。今の貴方なら何か事を起こすことはないだろう、とのことですからね」
「僕は安全って見られたって事か・・・まぁ別にいいけどね」
だがその事実を同じ立場にいる自分に教えた事は信用の証かとシンクが聞けば、フリングスから正直な答えで信用があると返され視線を背けながら微妙そうに返す。
「・・・でも正直、今更ダアトに戻りたいなんて思えないのが本音かな」
「・・・と言うと?」
だがその答えに対して感じたことをボソッと呟くシンクに、フリングスがその顔を覗き込むよう確認を取る。
「おそらく、いやまず間違いなくダアトは全て終わった後混乱に見舞われる。それも生半可な混乱じゃない、下手すりゃダアト自体が潰れるかもしれない程の混乱だ・・・僕は正直ダアトに何の思い入れもない、別に心惹かれるような魅力を感じたこともない。そんなこれから面倒が起きると分かっているいい思い出のない所に一々戻りたいだなんて思ってないんだよ」
「つまり・・・ダアトに戻る気はない、そうおっしゃっているんですか?」
「まぁそうなるね」
その視線にシンクは肩をすくめながらいかにダアトの地に思い入れがなく戻ることの不利があるかを語ると、フリングスもその言葉からもうダアトに戻るつもりはないのかと確信を得ながら確認を取る。その確認にシンクは軽く首を縦に振る。
「ならばどうするのですか?」
「さぁね。アンタから事が終われば自由って今聞かされたばっかなんだ。どうするかは決めてない。でも少なくともダアトに戻ることはない、それは確定してるけどね」
「・・・そうですか」
その様子に今度はこれからの予定を聞くフリングスだが今聞かされたばかりで何も決められないと返され、自身で発言したこともありそれ以上何も言えずに頷くだけ。
「・・・でも、何をするにしても貴方のその仮面って邪魔になるんじゃないんですか?今まで顔を隠してきたのだってその、導師と同じ顔を見られないようにするためですし、普通に暮らすのには無理があるんじゃ・・・」
「・・・ま、それは僕も考えたさ。けど変装の方法は仮面だけじゃない。その気になれば眼鏡でもかけるなり染料で髪を染めるなりすればいい。そしてダアトから離れてりゃすぐに僕をイオンと結び付けるような奴は現れないだろうさ」
「・・・つーかお前、髪を染めなかった理由って仮面被ってたからめんどくさかっただけとかなのか?」
「まぁそうだね。別に仮面を落とすようなヘマなんてそうそうするつもりもなかったからさ。でもこれからは必要になるだろうから、やることになるだろうけどね」
そこにセカンがその姿がネックになるのではと言えば変装すればいいと返す。だがその発言にルークが髪を染めなかった理由はめんどくさいだけだったのかと微妙そうに予想をつければ、あっさりと肯定を返しつつこれからはやるだろうと前向きな事をシンクは言う。










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