時代と焔の守り手は龍の剣 第十九話

「話はそれだけか?・・・ならそこの兵士が貴殿らの部屋に案内する、付いていってくれ」
「はい、ありがとうございます」
その話で終わりと見たピオニーは横より現れた兵士を見てその兵士が案内すると尊大に言えば、セカンが丁寧に頭を下げ一同は残るべき者を残しその兵士の後を付いていく・・・









・・・宮殿の中だけあっていかにも高い調度品で揃えられた室内に通されたルーク達。一人ベッドに腰かけ覚悟を決めたよう目を閉じて待つルークに、他の三人はその姿にいやが上にも遠目に気づかれないよう注目するが誰も声をかけることが出来ない。
‘ガチャッ’
「・・・お待たせしました、カクノシン殿」
「・・・来たか」
そこに入室してきたジェイドとフリングスにルークも顔を上げ一同注目する中、比古清十郎は扉の方へと歩いていく。
「陛下は私室にて話をするとのことで案内は私がします、こちらへ・・・」
「あぁ・・・」
その姿に丁寧に手を差し出しエスコートする形を取るジェイドに、比古清十郎は遠慮なくその案内に引かれ部屋を後にする。
「・・・ルーク殿。陛下にかねてよりの件についてお話をしました。その結果、了承するとのことです」
「・・・そっか、ありがとうフリングス少将」
「いえ、私はただルーク殿の言葉をお伝えしただけです」
ジェイド達が部屋からいなくなったことを見届けた後、今度はフリングスが頼んでいた件は了承だとルークを見て真剣に言う。そんなフリングスに確かな力を込め礼を言うルークだが、大したことではないと首を振るにとどめる。
「ディストはどうしたの?確かあいつもあんたたちと一緒に謁見の間に残ってたはずだけど・・・」
「ディスト殿、ですか・・・」
今度はそこにシンクがいないことを確認するようディストの事を口にするが、フリングスは少し複雑そうに顔を歪める。
「・・・貴殿方に隠しても仕方がありませんので、言います。彼はこのグランコクマに残ることが決定しました」
「ここに残る?」
「えぇ・・・」
それで決心したよう出た言葉にシンクは首を傾げるが、フリングスはその表情のまま話を続ける。
「元々カーティス大佐は最後までディスト殿に協力をさせるという気はなかったとのことです。カーティス大佐が言うには元々ディスト殿は心底から更生する気はなく、命惜しさにマルクトに投降して協力したのだと」
「まぁそうだろうね。死神がやりたいことって言ったらレプリカの研究であって、誰かに忠誠を誓う事なんかじゃない・・・大方それを見越した上でここに残すんじゃないの、終わりが近いから」
「えぇ。今現時点でディスト殿がやれることはもう特にありません、障気の件にしてもそうですしこれ以降の流れでもです。そして今のまま彼を放っておけばレプリカ技術の研究をやめる事はない、そうカーティス大佐は言っていました・・・ですから陛下はカーティス大佐のその言を受け、決断したのです。ディスト殿はもうここで外すべきで、これ以降徹底したマルクトの監視下に置くべきと」
「・・・妥当だね。死神がレプリカ研究から手を引くなんて有り得ないし、下手に放っておいたらそれこそ何するかわかんないからね。それならいっそここらで捕らえて離さないのが正解だよ・・・けど納得してるの、あれ?」
「心配無用です、今は研究者としての観点から協力してほしいことがあると別室であらかじめ用意していた研究に取りかかっていただいてもらってます。しばらくはその研究で時間を取って、外堀を埋めていく予定です」
「成程ね」
・・・いかにディストをこのグランコクマに閉じ込め、大人しくさせるか。その事をいかに第一にと考えているかのジェイドの言葉を代弁して質問に答えるフリングスに、シンクはその徹底ぶりに最後は納得して頷いた。











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