時代と焔の守り手は龍の剣 第十九話

「ただ話によればローレライの解放には超振動を用いねばならんらしいな。そして地核にいるというからにはその超振動を地核に向けねばならんだろう・・・そんなことをするなら安全面を考えて場所を変更してもらいたい、今この場で使われて魔界に深く繋がる穴が大きく開けられても困るからな」
「それは確かに・・・」
そんな忠臣としての姿を見せる二人だったが、ピオニーは冷静にここでは解放はしないでくれと被害の面を考え言い放ち側にいたゼーゼマンも納得して頷く。
「それについさっきお前達も地核から戻ってきたばかりで、立て続けに作業に取りかからせるというのも流石にキツいだろうからな・・・だから今日はここで休んでから、明日作業に取り掛かってくれ。ローレライ解放の候補地はこちらで検討をつけておく・・・いいな?」
「それが陛下のお言葉でしたら」
そこに更に皇帝として気遣うよう今日は休息するようにとアフターケアまでつけると言ったピオニーに、ジェイドは反論する事なくすんなりと頷いた。周りも特に反論があるような様子はない。
「なら兵士に部屋を用意させる、貴殿らはそちらで過ごしてくれ。あぁジェイド、アスラン、そしてディスト・・・お前達は残れ、色々話したい事がある」
「「はっ」」
「えっ、あっ・・・はい」
その姿を見てピオニーは各々に指示を向けるが、ディストは一人戸惑ったように声を上げるが結局は真っ直ぐ自分を見据えているピオニーの視線にたまらず頷いてしまう。
「ならその後でいい、時間を作れ皇帝。俺からも話したい事がある」
「貴様、ピオニー陛下に何て事を・・・!」
「いい、下がれ・・・その後だな、わかった。その時になれば使いをやろう」
「わかった」
そこに何を思ったのか全く敬う気のない命令を遠慮なく向ける比古清十郎が向け周りの兵士達が怒りにざわめきたつが、言われた当の本人ピオニーの制止により兵士達の動きは止まる。その上でその命令を受けたピオニーの判断に、比古清十郎は大した感動も浮かべず一声で済ませた。
「他に何か聞きたいことはあるか?」
「あ、なら・・・よろしい、ですか?」
「どうされた、ルーク殿?」
それで更に何かあるなら今言ってくれと言ったように比古清十郎達を見渡すピオニーに、ルークがあまり慣れない敬語を用いながら手を上げピオニーは言葉遣いの丁寧さのランクを上げ何かと問う。
「こちらにはナタリア、殿下を始め、様々な者がいるとお聞きしたのですが・・・それらの者達が今どうしているのか、聞かせてもらえませんか?牢に入れられている者も、ですがあまり今は導師に殿下、と会うのは避けたいのですが・・・」
「・・・ふむ、そういうことか」
その問いに出てきたのはたどたどしさが多少残っていながらも、精一杯に聞きたいことを聞いてくるルークにピオニーは納得して頷いてから質問に答える。
「ヴァン以下の神託の盾にその他牢に入れている者に関してはまだ処分を下していない。現状ですぐさま処分を下すのはまだ早いと思ったからな。とはいってもアリエッタに関しては投降した身分だ。こちらに来て牢にこそ入ってはいないが大分落ち込んで考え込んでいるから、今はあまり誰かと会うことは勧められん状態で引きこもっているそうだ」
「・・・はぁ・・・」
「・・・っ・・・!」
それでまずはと牢に入れられた者達の事を話すピオニーだが、神託の盾で数少なく投降したアリエッタに関して当人の精神状態があまり芳しくないと言った所でルークは首を傾げたがその心当たりのあるセカンは悲し気に目を落とした。
「ナタリア殿下に導師イオンに関してだが、こちらは安心していい。部屋から出ないようには厳命していて、入口には見張りの兵士を常駐させている。宮殿の中を歩いていたら鉢合わせした、なんて事態にはならないから安心してもいい」
「そうですか・・・ありがとうございます」
そのセカンに気付かず話を立場的には相当に上の二人についてに変えるピオニーに、ルークはホッとしたよう頭を下げる・・・その下げた顔にある瞳に、強い決意を浮かべ。








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