「まぁそう変な顔をするな、俺もそう考えなしに言っている訳ではない。お前も考えているという話だが、ダアトにキムラスカがローレライを名目的に解放したとなれば面倒になりかねんからな。もし解放しないとなってそちらのルーク殿をキムラスカに帰した後、キムラスカやダアトの上層部がその威光を頼るなりその存在を利用する為にローレライの解放をルーク殿に強制で迫る可能性もあるからな。そうなるくらいならマルクトが今、責任を取ってローレライを解放することを選んだ方がまだいい」
「・・・っ！」
「それは・・・確かにそうですね」
それでピオニーから出てきたのはマルクトがローレライ解放の指揮を取らなかった場合の最悪の場合のシミュレーション。そのシミュレーションを聞き当事者であるルークは驚愕に目を見開き、ジェイドも有り得ない事ではないと納得して頷く。
「それにローレライの目的が危険なことだとはっきり決まったわけでもない。むしろその目的次第ではこちらに協力してもらうことも可能になる可能性も出てくる」
「協力、とは？」
「そちらのカクノシン、いや今は飛天御剣流の伝承者で第七譜石を引き継いで持ってきた比古清十郎と言おうか。現状で確かに比古清十郎より渡された第七譜石という物はこちらの手元にある、それは否定出来ん。だがこの第七譜石の中身・・・例えこれを世界に公表しても、まず確実に全てを受け入れられる事はないだろう」
「だろうな、一般的にいいものと見られている預言・・・その正体が世界の破滅が詠まれた物などと、受け入れられるはずがない」
そんな話を更に続けていくピオニーがローレライへの協力をさせれるかもと言う中、カクノシンを比古清十郎と言い直した上で第七譜石の中身を世界に広めた所で無駄だろうと断定する。それに比古清十郎も補足をするかのよう、いつものよう堂々と態度を改めずに同意する。
「そうだ。だがここでローレライを協力させられればどうなる？」
「・・・そうなれば第七譜石の中身を真実だと証明させることが出来ますね。他ならぬローレライです、彼の言葉があればそれは間違いなく証明出来るでしょう。ですが確実に彼が協力してくれるという保証はないですが・・・それでもやれ、と仰るのですね？」
「その通りだ。そしてローレライ解放にかけれる時間はそう多くはない、タイムリミットはルーク殿がバチカルに戻ることになっている今年中・・・もっと限定して言うならプラネットストームを止める前になる。それ以上となればいかに超振動をルーク殿が使えると言っても第七音素が無ければいかようにもならないからな。そして下手に時間をかければキムラスカにダアトがどんな行動を取ってくるかもわからん・・・だから出来る限り早いローレライの解放をお前達に命ずる、これは皇帝の勅命だ・・・いいな？」
「「はっ、その勅命承ります！」」
その声に大して反応せず同意し協力した場合を仮定しろとピオニーから言われジェイドは大方うまくいくだろうと言いつつも、成功する保証はないがそれでもやるのかと問う。だが迷いなく躊躇った場合のデメリットを述べながらそうしないためにもやれとピオニーは勅命と出したことで、否定の言葉など出さずジェイドはフリングス共々その意に軍人らしい最高の敬礼を返した。









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