時代と焔の守り手は龍の剣 第十九話

『・・・済まないな、少し時間を使いすぎた。とりあえずまずはルーク・・・これを受け取ってくれ』
「えっ、受け取るって・・・・・・なんだ、これ。いきなり光が現れて、なんか出てきたけど・・・」
そんな比古清十郎に謝りつつもルークに意識を向けるローレライ。だがいきなり意味のわからない事を言われて戸惑うルークだったが、自身の前に現れた光から奇っ怪な形の棒状の物体が出てきたことに一応柄らしき所を持ちながら視線を集中させる。



『それはローレライの鍵だ』



「っ・・・!?ローレライの鍵・・・これが・・・!?」
その物体の正体をローレライの鍵と言うローレライに、ジェイドが滅多になく珍しげに驚いた声を上げ目を剥くが周りも声こそ上げないものの同じようなリアクションだった。
「何故これを、ルークに・・・?」
『時間がないから簡潔に言うがこの鍵は超振動の収束にも役に立つ。地核からの我の解放の際に是非とも使ってもらうために渡そうとしていたものだ。そしてその鍵には我の第七音素を多少込めておいた、もしルークが超振動を使うとなった時にはその音素が手助けをする。そのための物だ』
「成程、確実に地核からの解放をしてもらいたいからこそ鍵を渡すんですね」
『あぁそうだ。ここで鍵を渡せねばもう二度と地核から出れんやもしれんからな。だからこそ渡したのだ、この鍵をな』
「・・・そういうことですか」
ローレライもだが、ローレライの鍵も伝説の存在。そんな重要な物を手渡す心を疑うジェイドにローレライは自身の苦しい身の上までもを明かした上で解放の為に是非もなく託したと告げ、納得させる。と、比古清十郎の刀に宿っていた光の塊が霧散し始めた。
『・・・どうやら時間のようだ。後は、頼む。我を解放、してくれ・・・』
「あっ・・・ローレライ・・・」
その現象に飛ばした音素の限界が来たと言いながらも解放を願う言葉を残しながら、刀からローレライの音素が完璧に消え去った。その様子にルークが刀に近寄るが、比古清十郎は構わずその刀を納刀する。
「時間がない、今はアルビオールに乗ってさっさとここから離れるぞ」
「あ・・・うん」
そしてさっさと横を通り過ぎようとする際に声をかけた比古清十郎に、ルークはその後ろ姿に慌ててついていく。セカン達もそれに倣い急いでその場を後にしていった・・・















・・・ローレライが出てこそ来たものの、アルビオールに無事に乗り込みタルタロスから無事に飛び立ったルーク達。その中でルーク達は次の事について話を始めていた。



「どうするんですか、カクノシン殿?私はあの言葉からローレライは地核からの自身の解放を真にただ願っているように思えました。ですが本当にローレライを解放するべきだと、貴方はお思いですか?」
一同が座に会する中で一番先の座席に座っている比古清十郎に、通路を挟んで横にいるジェイドが疑問を投げ掛ける。
「・・・何故そんなことを言う?」
「私はローレライの真意を疑ってはいません、おそらくは地核から出たいと言うのは本音ではあるでしょう。ですが・・・あれで全てを明かしたとは思ってはいません、あの場で時間がなかったという事を差し引いてもです」
「成程・・・何か隠しているものがあるやもしれんと疑っているという訳か」
「それもあります・・・ですがローレライを解放する事のメリットはあるのかと、私は少し疑問に思っています」
「何・・・?」
その声に比古清十郎も興味を示し会話を交わすが、ジェイドがメリットと言ったことに眉を寄せた。







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