「・・・でも待てよ。ルークにってんならお前、アッシュにも俺のように声を聞かせようとしてたのか？・・・ホントの『ルーク』はあいつなんだし、俺ってあいつの完全同位体ってヤツなんだし・・・」
『無論だ』
・・・その成長は自分の嫌なところを受け入れることが出来るようになったことである。
アッシュの事を辛そうながらも話題に上げるルークにローレライは知ってか知らずか、淡々と肯定する。
『しかし結局ルークと同じで、まともに声が届くことなく終わってしまったがな』
「あぁ・・・それであいつ時々頭が痛いだ変な声が聞こえるなんて言ってたんだ。あれがまさか同調フォンスロットを開いて通信していた物だなんて、正直想像していなかったけどね」
しかしルークと同じ結果だと言うローレライにあれかとシンクが懐かしむよう思い出すが、それを聞きルークは首を傾げる。
「・・・でもそれって、いつからやってたんだ・・・？前にアッシュがファブレの家にいた時はそんな頭が痛いとか言ってたみたいなこと、聞いたことがなかったんだけど・・・」
『・・・一応はファブレにいた頃から通信はしてはいた。だが幼い体にあまり負担をかけてはいかんと昔は頻度を少なくしていたからな』
「成程、体が成長するにつれその頻度を増やしどうにか声を届かせようとしたわけか。おそらくその頭痛が話題に上がらんかったのは頻度が少なかったのに加え、本人の痩せ我慢もあったのだろう」
「だろうね。ただでさえ不機嫌そうなしかめっ面に更にシワが寄るんだから、何が起こったのかって最初は思ったよ。まぁいきなり更に不機嫌な顔されちゃこっちが不快になるから、痛いんなら我慢せずリアクションするようにって言ったんだけどね」
その首を傾げる様そのままにアッシュにはファブレを出る前に通信していなかったのかをルークが聞くと、ローレライが幼いことを理由に頻繁には出来なかったと言い比古清十郎とシンクが取っていた行動の予測と補足をする。
「・・・お前は『ルーク』って存在が増えたっていうか、同位体が増えたことに気付いたはずだ。そしてそれがどんな異質な事かってのも気づいてたにも関わらず、それでもそんなこと関係無く俺とアッシュに接触しようとしてきた・・・それほどお前、地核から出たかったのか・・・」
『・・・そうだ』
その話を受けた上でどれだけ地核から出たいのかとアッシュにも協力を願っていたことからなりふり構わずにいたのだとルークは理解し、ローレライは苦々しく頷くような声を上げる。
『地核から出るには超振動が必要になる・・・だがそれはそなたかアッシュ、どちらかがいなければ出来ん事だ。しかしそれはどうしても今年中でなければならないことだった。何しろ今年は『ルーク』が死ぬ年であり、キムラスカとマルクトの戦争の始まる年でもあったのだからな・・・』
「だから俺に、俺達に少しでも協力をさせようとした・・・俺達が死ぬ前にどうにか自分を助けさせるために」
『・・・そうだ。そなたを巻き込んでしまったことは悪いと思っている。だが時間もなく手段を選ぶ時間は我にはなかったのだ、わかってほしいなどと今更言う気はない』
「・・・くっ・・・」
いかにローレライが苦心し焦っていたのか。それを開き直るでもなく自身で受け入れ謝罪はしてきたことに、ルークもその気持ちを少なからず汲み取ってしまうために何も言えずに下を向く。
「今更そんな泣き言を聞くために俺達はわざわざ今時間を取っている訳ではない、やるべきことがあるならさっさとしろ。こうやって時間を取っているだけで俺達は命の危機にさらされているんだ」
・・・だがそんな二人の空気になっていた所に全く空気を読まず、ただ現実的な声を苛立たしげに比古清十郎は上げた。








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