時代と焔の守り手は龍の剣 第十八話

・・・そんな二人は早速剣術の稽古にと、広く場所を取れる甲板へと行った。



「・・・1つ聞くがお前はその逆刃刀でやるつもりか?」
「・・・あぁ。ホントなら真剣でやりあわなきゃいけないんだろうけど、正直人の命を奪うのは俺にとっちゃキツいからな・・・だからそれが済むまでこの逆刃刀を貸してくれ、頼む」
「・・・まぁいいだろう。別に今はその逆刃刀は必要ではないからな」
そして稽古の用意となりルークが逆刃刀を抜いた所で比古清十郎が逆刃刀を使うのかと問えば、そうと答えつつ逆刃刀の貸し出しを頭を下げて願い出てくる。別段断る理由のない比古清十郎は了承しつつも、自らの刀を抜く。
「さぁ頭を上げろ、そして気を抜くな・・・ある程度手心は加えてやるが、腑抜けた剣を振るうならその分痛い目に合うのはお前になるぞ」
「っ・・・あぁ、わかってる・・・!」
その上で構えを取りビリビリ来る剣気を発する比古清十郎にルークは否応なしに緊張感を帯びた表情で顔を上げ、自身も逆刃刀を構える。
「・・・来い」
「うおぉぉぉっ!」
そして比古清十郎の声を合図にルークが威勢よく斬りかかることで、稽古は始まりを告げた・・・















・・・そして数十分もする頃には、立派にルークは精神的にも肉体的にもポロボロにされ地面に大の字で倒れていた。比古清十郎は一切何もなかったよう、冷やかに酒を立ち飲みする形で。
「ハァ、ハァ・・・くっそ、ホントに、当てて、きやがった・・・!」
「フン、言っただろう。俺はそれほど優しくはないとな。それともそれすらも覚悟せず俺に稽古を頼んできたのか、お前は?」
「そういう、訳じゃない・・・まさかここまで、なんて思ってなかったんだよ・・・それでいて、すげぇ指示が飛んで、くるし・・・」
「稽古というからには指南をする必要がある。それを一々口に出してやってる人のいい俺に感謝こそあれど、批難されるいわれはないと思うがな」
「・・・まぁ確かに、俺から言い出した事だし、文句を言うつもりもない、けどな・・・」
息も絶え絶えに話すルークに明らかに楽しいとS心を覗かせる笑みを浮かべる比古清十郎。だがその笑みにはS心だけでなく、見守るような暖かさがこもっていた。
「文句がないならどうする?幸い後数日は時間がある、稽古に割く時間くらいはまだあるぞ?」
「・・・聞かれるまでも、ない。俺は、やるぞ・・・!」
「・・・フッ」
そこで更なる稽古はどうすると投げ掛ける比古清十郎にルークは息も絶え絶えながらも強い意志を灯した瞳で立ち上がり、その姿に軽く笑む。
「・・・師匠、ルークさん!何をしているんですか!?」
「・・・セカン・・・」
するとそこにセカンが現れ何事かと慌てて問いかけてくるが、ルークはただその姿をじっと見つめる。
「何もなんも、ただ俺は稽古をカクノシンに頼んでるだけだ・・・だから気にすんな」
「稽古って、なんでいきなり・・・」
「必要があるから今こうやって俺が稽古しているだけだ、お前が気にする必要はないセカン」
「師匠まで・・・」
だが二人から返ってきた答えは共に気にするなと素っ気ない物。そんな今までにない連帯感のある空気にセカンは少し信じられないと二人を交互に見る。
「この稽古の意味は遠からず分かる、いらん心配はするな」
「・・・はい、わかりました。でもルークさんが心配ですから、私もここに残ります」
「好きにしろ」
その上理由を言う気はないと含まれた返しにこれ以上聞くのを諦める代わりに場に残るとセカンは宣言し、比古清十郎はそれを放任すると言いつつ再びルークに視線を向け構えを取る。












・・・そんなルークと比古清十郎の稽古の時間が移動時間に増えた中で、最速を保ちながらも確かに目的地へと向かう。

そして数日が経ちタルタロスはかつてのホドがあった場所へと辿り着いた。









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