時代と焔の守り手は龍の剣 第十八話

・・・ルークの強い決意にセカンが複雑な想いを浮かべる中、セカン達に少し遅れてジェイドは準備を終えたタルタロスの元に着きイエモン達主導の元で装置を動かして、タルタロスを出港させた。









・・・ただ、タルタロスを動かし目的地に向かうのに余計な事をする時間がないとは言え、ヴァンにモースにキムラスカなど敵となると見ていた連中は既に敵として立ち塞がるような状況にはなっていない。つまりはタルタロスを操舵する者以外にとって、ホドの跡地に着くまでの時間は手持ちぶさたな時間であった。



「・・・何か用か?」
「あぁ・・・」
・・・そんな手持ちぶさたな時間で空いていた部屋に比古清十郎が1人陣取っていた所に、ルークが入室してきた。そのただならぬ決意がこもった様子に比古清十郎はルークを真剣に見据える。
「・・・頼む、少しの間でいい。俺に剣術を教えてくれ」
「・・・何?」
そこでルークから出てきたのは真剣に剣を教えてほしいと頭を深く下げた物。今までにないその態度に思わず比古清十郎は眉を寄せる。
「・・・言っておくが飛天御剣流なら教えんぞ。そうそう一朝一夕に教えれるもんでもない上に、継承させると決めているのはセカンだ。これ以上飛天御剣流を広める気は俺にはない」
「いや、違う。俺が言いたいのはそういうことじゃなくて、稽古をつけてほしいって意味でだ」
「・・・何?」
安易に飛天御剣流の強さを求めてるのか。言外にそう言い含めながらも拒否を示し返した比古清十郎にそうじゃないと、稽古をしてほしいと言うルークにまた比古清十郎は眉を寄せる。
「何故そんなことを望む?別段お前にはそんなことをする必要はないはずだ」
「・・・確かにこのまま行ったらそうする必要はないと思うけど、それはお前らが用意してくれたもんだけでそれ以外にまたやりたいもんが俺にはあるんだ。ただそれは俺がやりたいっつーか、やらなきゃいけないって思ってるからそれで・・・」
「・・・俺に稽古を、か?・・・まぁ飛天御剣流を身に付けたいなどと大それた事を言わんなら少し位はやってやってもいい、今は暇だからな。だが理由を言わんなら稽古はしない、不透明な物に手を貸す程俺はお人好しではないからな」
「・・・わかった、言うよ。フリングス少将にも協力してほしいって言ってるしな」
今度必要なのはその真意を問うことだが、当の本人であるルークはどうにかその答えをどう表現するものかと迷っている。だが稽古という物に対して真剣だということを理解した比古清十郎はなら、と明確な理由を話すことを求める。






「                                  」






「・・・成程、そういうことか」
「・・・あぁ、フリングス少将は出来る限りの便宜は図るって言ってくれたからな。けど肝心な所でトチるなんて絶対にごめんだから、少しでも成功の可能性を上げたいんだ。ただんなことして危険に自分から飛び込むのはお前らに悪いとは思うけど・・・」
「いや、俺は嫌いではないなその考え方は」
「ホントか・・・?」
「あぁ」
・・・そしてその理由を話したルークに比古清十郎が示した反応は、満更でもなさそうな物であった。むしろ楽し気と言った様子に近い物がある。
「それなら少しの間だが俺が稽古をつけてやろう。だが俺は優しくはない、それでもいいならな」
「構わない・・・よろしく頼む、カクノシン」
その上で出した結論は協力するというもの。その自分は厳しいと付け加えられた答えにルークは迷うことなく、再度深く頭を下げた。









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